世界は会計でできている。組織を操る「管理会計」ならノルマが算出でき、教育計画が立ち、金メダルへの道まで見えてくる!?
こういう会計的なプロセスとまったく無縁に生きていける人は、あまりいないはずです。ですから、会計は利益を追求する組織だけに必要なものではありません。
利益を追求する組織ではない家計にも、国家にも不可欠です。私たち人間の集団が組織化されれば、そこに会計は不可欠で、世の中は会計によって動いている。
その意味では、「世界は会計でできている」ともいえるのです。
会計は「支配」と強く結びついている
また、管理会計によって現場の人々の動きがコントロールされることからもわかるとおり、会計というツールは「支配力」と強く結びついています。会計学の世界では、近年、会計を「権力間の交渉ツール」と見なす考え方も広まってきました。
というのも、会計の大きな役割のひとつは富や資源の「分配」です。そして私たちの社会では、政府や企業をはじめとするさまざまな組織が、常に「分配」をめぐる交渉をくり広げています。
政府と企業のあいだなら、税率はいくらにするのか、補助金をどこにどれだけ出すのかといった問題がありますし、企業同士なら、仕入れ値を安くしたい会社と高く売りたい会社のあいだで駆け引きがあるものです。
そういう組織同士のつながりを、会計学では「コンステレーション(星座)」に見立てることがあります。
ひとつひとつの星が結びつくことでオリオン座や北斗七星などの星座がつくられるように、利害関係のある組織同士の結びつき方によって、さまざまな交渉の舞台が形づくられているというイメージです。
たとえば、いわゆる「原発ムラ」はわかりやすいコンステレーションのひとつです。そこでは、経済産業省、内閣、自民党、電力会社、原発メーカー、地方自治体、原子力の研究機関などなど、いくつもの組織がつながっています。
どんな組織も必ずそれぞれの「権力」を持っているので、これは権力と権力がつながる場にほかなりません。
コンステレーションを形成する権力同士が、研究開発費、運転コスト、電気料金など、自分たちが握っている会計データを使って交渉し、原発を推進することで得られる富や資源を分配しているわけです。
会計は分配に不可欠のツールですから、権力間の交渉における最重要の「言語」といえます。
会計データがなければ、「あなたにはこれだけ分配しましょう」「いや、われわれはもっともらえるはずだ」といった交渉は成り立ちません。根拠に欠ける水掛け論にしかならないからです。
したがって、分配をめぐる交渉では、会計をより深く理解している側ほど優位な立場になります。
そもそも古代シュメールで同時に生まれたときから、文字と会計記録は、分配の権限を持つ権力者が世の中を支配するためのツールでした。
ここでいう「権力者」や「支配者」は、必ずしも国家権力のことだけを指すのではありません。それぞれの組織や業界、あるいはコンステレーションの中で、会計の主導権を握る存在のことです。
会計というツールを握っている権力者は、巧みなレトリックによって被支配者をごまかし、自分に都合のいい方向にコントロールすることもできます。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら