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ライフ #東京で最初に住んだ街

「山手線の内側は気軽に住めるところではない」 京都の大学生が上京、東京の家賃相場に圧倒されながら選んだ「いろんな顔を持つ街」の"実態"

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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そうして選んだ部屋が私たちの編集部になり、自身は編集長を気取っていた。そうすることで精神の安寧を図っていたわけだが、いつでも好きな映画について熱弁を振るうSと飲んでいると、なんだかもっと遠くの広い世界へといざなわれるような、そんな感覚を味わえたものである。

「ちとふな」で過ごした日々は青春だった

野心しかなかった私と、野心はおろか、明日の計画さえもまるでなかったS。

今はともに筆一本で生計を立てている。私は偉人研究家として、そしてSはホラー作家・澤村伊智として。

「いやあ、ずいぶんと差をつけられましたよ。今や日本を代表するホラー作家ですから」

この原稿を書くにあたって、久しぶりに千歳船橋を歩いた。かつて通った馴染みのBARのマスターに、そんな近況を報告したかったけれど、もう店はなかった。

人が変われば、町も変わる。それでも、上京して初めて住んだ街への思いは変わらない。ちとふなの街と、狭いワンルームで過ごした日々は、私にとって間違いなく青春だったのだ。

ド平日に我が家でほぼ朝まで遊んで二人で駅まで向かうことも(筆者撮影)

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