「山手線の内側は気軽に住めるところではない」 京都の大学生が上京、東京の家賃相場に圧倒されながら選んだ「いろんな顔を持つ街」の"実態"

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そうして選んだ部屋が私たちの編集部になり、自身は編集長を気取っていた。そうすることで精神の安寧を図っていたわけだが、いつでも好きな映画について熱弁を振るうSと飲んでいると、なんだかもっと遠くの広い世界へといざなわれるような、そんな感覚を味わえたものである。

「ちとふな」で過ごした日々は青春だった

野心しかなかった私と、野心はおろか、明日の計画さえもまるでなかったS。

今はともに筆一本で生計を立てている。私は偉人研究家として、そしてSはホラー作家・澤村伊智として。

「いやあ、ずいぶんと差をつけられましたよ。今や日本を代表するホラー作家ですから」

この原稿を書くにあたって、久しぶりに千歳船橋を歩いた。かつて通った馴染みのBARのマスターに、そんな近況を報告したかったけれど、もう店はなかった。

人が変われば、町も変わる。それでも、上京して初めて住んだ街への思いは変わらない。ちとふなの街と、狭いワンルームで過ごした日々は、私にとって間違いなく青春だったのだ。

千歳船橋の風景
ド平日に我が家でほぼ朝まで遊んで二人で駅まで向かうことも(筆者撮影)
真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『ひょんな偉人ランキング ―たまげた日本史』(さくら舎)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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