「年齢の高い男性と45歳以上の女性がターゲット」、ランサムウェア身代金交渉"恐喝電話の台本"見つかる…周到な手口

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Teamsのテキストによる偽装から、台本化された恐喝電話、そしてディープフェイクへ。手口は段階的に巧妙さを増している。ディープフェイクを用いた詐欺はすでに現実の脅威だ。

24年初頭にはBlack Bastaとは別の犯罪グループによるとみられる事件で、CFOのディープフェイク映像に騙された多国籍企業の従業員が約2500万ドルを送金してしまった。

防御が堅い組織は「割に合わない」

攻撃のあらゆる段階が合理的に設計されている以上、効率が悪ければ手を引くということでもある。

チャットでは、ある攻撃案件でツールがすべてセキュリティ製品に検出され、リーダー格が「(本件では)全員を解散させる。仕事を続ける意味がない」と撤退を決断した場面がある。

防御が堅い相手を「要塞みたいだ」と語り合う場面もあり、攻撃を断念する傾向も見て取れた。

対策としては、Teamsに限らず、社内のコミュニケーションツール全般について、外部からのアクセスを必要最小限に制限することが望ましい。多要素認証の導入や脆弱性の迅速な修正も欠かせない。

攻撃者自身が認めていたように、堅固な防御を持つ組織は標的から外される。その水準まで引き上げることが最も現実的な対抗手段だ。

また、攻撃者がデータ量を水増しして脅迫していた事実が示すように、彼らの主張を鵜呑みにしないことも重要な教訓となる。「うちの規模では狙われない」という思い込みも危険だ。

彼らはターゲットの財務状況に応じて身代金額を個別に設定しており、企業の規模にかかわらず標的になりうる。生成AIの急速な発展が攻撃のコストとハードルを押し下げる中、脅威の裾野は今後さらに広がるだろう。台本を手にした相手は今この瞬間も活動しており、その備えに早すぎるということはない。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
吉川 孝志 三井物産セキュアディレクション フェロー/上級マルウェア解析技術者

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よしかわ たかし

前職はウイルス対策ベンダーにて海外部署と連携しインシデント対応や顧客サポートを行う傍ら、官公庁及び警察機関等からのマルウェア解析業務に従事。現職ではWindows OS等の脆弱性を数多く発見、またマルウェアやランサムウェアの検知技術に関する発明で米国特許1件、国内特許3件を取得。ランサムウェアを用いたサイバー犯罪被害を未然に防止するなど警察機関への協力や、マルウェアに関連するサイバー犯罪の犯人検挙に貢献し警視庁から表彰された経歴がある。著書に「マルウエアの教科書」(日経BP)がある。

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