「もらい事故でした、申し訳ありません」では済まない、"他社"で発生したサイバー攻撃による被害の厳しい現実

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特に見落とされやすいのが、Nth(エヌス)パーティの存在です。直接契約関係にはないものの、実際には再委託先や基盤事業者として、事業の重要な部分を支えているケースは少なくありません。

こうした存在は平時には意識されにくい一方で、事故が起きた際には影響が一気に顕在化します。このような環境では、企業間で分散したリスクを前提として設計されていない従来型の防御モデルでは、安全を担保できません。

そこで求められるのが、サプライチェーンサイバーリスク管理という視点です。これは、形式的なチェックリストや年1回の評価で完結するものではありません。重要なのは、「どの取引先が危ないか」ではなく、「どこが止まったときに、自社の事業がどれだけ影響を受けるのか」を見極めることです。

すべての取引先を同じレベルで管理することは現実的ではありません。事業全体が停止する可能性のある依存関係と、限定的な影響にとどまる関係とでは、経営としてつけるべき優先順位は明確に異なります。

表面的な取引関係だけでなく、その先にある依存構造まで含めて把握すること。それを経営判断に活かしていくことこそが、サプライチェーンサイバーリスク管理に求められる姿勢だと言えるでしょう。

リスク評価を「経営の言葉」に翻訳する

サプライチェーン全体を視野に入れたリスク管理を進めるうえで、次に重要になるのが、リスク評価を経営の言葉で捉え直すことです。

サイバーリスクはこれまで、技術的な脆弱性や対策の有無、複雑な指標や数値といった専門的な言葉で語られることが多く、「IT部門に任せる話」として受け止められがちでした。

しかし、経営判断に必要なのは技術の詳細そのものではありません。 経営層が把握すべきは、事業への影響です。

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