「時間がないが服は選びたい」二律背反を解消した、新興ファッションサブスクの驚きの仕組みとは?

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第3に、顧客情報をもとに、エアークローゼットからブランド各社への提案も行っている。例えば、ブランド側では「カラーは3色展開」と決めていても、顧客ニーズを把握しているエアークローゼットからは、「あと2色追加したほうが、より広い顧客にリーチできるのでは」などと助言ができる。また、ブランド各社の需要予測に役立つ情報を提供している。

第4に、顧客の中には、特定のブランドを気に入り、そのブランドの服を着続けたいというニーズもある。これに対しては、エアークローゼットは単独のブランドの洋服のみを選べるオプションも始めている。

福利厚生とサステナビリティを標榜できる活動

(7)サーキュラー・エコノミーの実現へ

エアークローゼットは、企業の設立目的として挙げたサーキュラー・エコノミーの実現にも努力している。

トレード・オン思考 トレード・オフを乗り越える「第3の道」
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例えば、レンタルを終えた洋服に関して、独自の仕組みを持っている。アウトレット事業として、会員向けだけでなく、企業に出向いてレンタル終了品のセールを実施している。企業での対面販売をしている理由としては、会場を提供する企業側にとっても、福利厚生だけでなく、サステナビリティを標榜できる活動の一貫となり、ここでもウィン-ウィンの関係を築いている。

そこでも売れ残ったり、破損した洋服は、リサイクルに回し、できるだけ廃棄が起きない仕組みを作っている(ちなみに、日本のファッション業界全体では、販売された服の約7割が処分・埋め立てされている)。

(8)トレード・オフをトレード・オンに

トレード・オフの視点からエアークローゼットを見ると、

・「洋服を買いに行く時間がない」vs.「色々な服から選びたい」
・「自分に合った洋服を着たい」vs.「着る服がマンネリ化してしまう」
・「エアークローゼットと取引したい」vs.「新品の洋服が売れなくなる」

という3つのトレード・オフを解消し、成長を続けてきたのである。またその解消のために、見えない所で、ビッグデータを駆使しているところも特徴的である。

山田 英夫 早稲田大学名誉教授

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やまだ ひでお / Hideo Yamada

早稲田大学名誉教授/ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授。1955年生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。三菱総合研究所にて経営コンサルティングに従事後、早稲田大学に転じ、ビジネススクール教授を務める。2025年より現職。博士(学術:早稲田大学)。専門は競争戦略、ビジネスモデル。製薬、電機、金融、食品企業等の社外監査役・社外取締役を歴任。著書に『異業種に学ぶビジネスモデル』『競争しない競争戦略 改訂版』『カニバリゼーション』『逆転の競争戦略[第5版]』『ビジネス版 悪魔の辞典』などがある。

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