「時間がないが服は選びたい」二律背反を解消した、新興ファッションサブスクの驚きの仕組みとは?
創業者は全員エンジニアであったと既に述べたが、同社の社員は25%がエンジニアであり、システムをすべて自社で内製化している。また、服飾品を顧客にオンラインで推薦する同社の「スタイリング提供システム」は、特許を取得している。
エアークローゼットは、ICTにしかできないことと、人間にしかできないことを両立させている。
顧客データを蓄積すればするほど、ニーズに合う洋服が提案できる仕組みであり、顧客からのアンケートも、このビジネスモデルを進化させるために活用されている。アンケートは定量と定性の2つから成るが、そこでの評価が、洋服を選定したスタイリストの評価とも連動しており、これがスタイリストのインセンティブにもなっている。
現在、スタイリストは300名以上在籍しているが、芸能人などにつくスタイリストとは違って、洋服を提案する力だけでなく、データを読む力、安定と冒険の度合など、高度な能力が求められており、そのための社内研修も実施されている。
3番目のトレード・オフ
エアークローゼットのビジネスモデルで、もう1つ欠かせないのが、洋服を提供するブランド各社との関係である。ここに、3番目のトレード・オフがあった。
ブランド各社にとっては、洋服を買ってくれる人が増えることが一番嬉しいが、エアークローゼットでレンタルする人が増えると、売り上げの損失になる。エアークローゼットと取引すると、カニバリゼーション(事業の共食い)が起きてしまうのであった。
このように、エアークローゼットとブランド各社とは微妙な関係にあるが、エアークローゼットは、以下のようにウィン-ウィンの関係を作り上げた。
第1に、ブランド各社が自社商品を知ってもらう機会は限られており、エアークローゼットが“有料試着”の機会を提供してくれることは有難い。
第2に、洋服が顧客の手元に届く物流システムを、エアークローゼットが提供していることである。ブランド企業自らがこの物流システムを構築するのは大変であり、エアークローゼットのシステムを利用する価値がある。ちなみにこの物流システムは、競合他社が似たようなビジネスモデルを作ろうとした場合の、参入障壁にもなっている。





















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