「時間がないが服は選びたい」二律背反を解消した、新興ファッションサブスクの驚きの仕組みとは?
エアークローゼットの顧客価値としては、簡単、便利、安心の3つを重視している。
簡単に関しては、インターネットで簡単に登録でき、エアークローゼット専属のスタイリストが洋服を選定してくれる。便利に関しては、返却期限をなくし、クリーニングも不要で、送り返すだけにした。さらに安心に関しては、月額定額制とした。
忙しい女性にとっては、従来「洋服を買いに行く時間がない」、しかし、「色々な服から選びたい」というトレード・オフがあった。
また洋服を買ってみたものの、実際に着てみると、似合わなかった場合には、“タンスの肥やし”になってしまうことも少なくない。エアークローゼットは、購入の失敗リスクをなくすことができ、“リアルな試着期間”を提供してくれるサービスとも言えよう。
試着室ではなく、実際に洋服を着て街に出れば、自分に合っているかがわかる上、他人からの評価も体験できる。ファッションは、「I」(自分の認識)だけでなく、「me」(他人からどう見られるか)の要素も持っているからである。
エアークローゼットでは、専属のスタイリストが、事前に登録した情報や過去のレンタル・データを基に、AIを活用して顧客に貸し出す洋服を選ぶ。レンタルを重ねた人は、情報の蓄積も増え、本人が語らずとも、ますますニーズに合った服が届くようになる。
違うテイストの服を着てみたいという欲求も
女性にとって、「自分に合った洋服を選びたい」というニーズがあることは間違いないが、一方で、「着る服のデザインやブランドが固定化し、服装がマンネリ化してしまう」「たまには冒険もしてみたい」という相反するニーズを持つ人もいる。
ここに、2番目のトレード・オフがあった。あまりに自分にピッタリ合った服ばかり着ていると、たまにはテイストの違う服も着てみたいという欲求も出てくる。
そこでエアークローゼットが工夫したのが、同じトーンの服だけを着続けたいか、たまには冒険したいのかという選択を、顧客にしてもらうことであった。希望する顧客には、“チャレンジ・アイテム”というテイストの違う服も届ける。あえて顧客が普段着ないような服を提案し、ファッションで冒険する楽しみを味わってもらうためである。
ファッションとは無縁な男性エンジニアが立ち上げたビジネスであったにもかかわらず、ビッグデータだけでは解決できない顧客ニーズを取り込む仕組みを作ったのである。
実際に顧客からは、「どんな服が届くかワクワクする」「新鮮だけど、似合うと褒められた」というような、セレンディピティ(思いがけない発見・出会い)を評価する声も届いている。





















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