「時間がないが服は選びたい」二律背反を解消した、新興ファッションサブスクの驚きの仕組みとは?
さらに国家レベルで見れば、福祉のレベルと税金の高さにはトレード・オフがある。スウェーデンのような高福祉の国にあこがれても、税金がこれ以上高くなることには反対する人も多いかもしれない。
最後に地球レベルで見れば、経済成長と環境保全の間にもトレード・オフが見られる。国際会議では、地球環境を考え、二酸化炭素やプラスティックなどを規制しようという先進国と、国の成長を優先したい発展途上国との間で、なかなか合意が得られない。
このようなトレード・オフに関して、これまでよく採られてきた方法が、①「バランスを取る」か、②「どちらかを優先する」という方法であった。
①の例としては、儲け過ぎの批判をかわすために、社会貢献投資をする企業があった。また②の例としては、当期は大幅な減損を出しても、将来の財務の健全性を優先するといった、思い切った損切りで復活を遂げた企業もあった。
しかし、こうした「バランスを取る」、または「どちらかを優先する」という方法は、トレード・オフの根本的な解決をしているわけではない。その場でのベストを追求しているだけである。
ビジネスの世界は、トレード・オフの塊である。しかしそのトレード・オフをトレード・オン(トレード・オフを解消した状態)にできれば、顧客満足(CS)を高め、企業の利益も高めることができる。
3つのトレード・オフを解決したエアークローゼット
トレード・オフとは、「二律背反」「Aを採ればBが採れない状態」を指す。また、トレード・オフを解決・解消することを、本稿では「トレード・オン」と呼ぶことにする(ネイティブの英語では、トレード・オンは、「~を利用する」「~につけ込む」という意味であるが、ここでは、トレード・オンを「トレード・オフを解消する」という意味で用いる)。
ここで、3つのトレード・オフを解決して事業を拡大してきた事例として、女性服のサブスク事業を行うエアークローゼットの事例を見てみよう。
働いている女性や育児に忙しい女性は、洋服を買いたい気持ちはあっても、買いに行く時間がなかなかとれない。しかし、近所でも買えるファスト・ファッションで構わないかというと、色々な服から選びたいというニーズもある。「服を選びたい。しかし時間がない」というトレード・オフがあったのである。
このトレード・オフを解決しようと登場したのが、エアークローゼットであった。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら