「未成年のサイバー犯罪」背景に3つの格差、倫理教育で闇落ち防ぐには? 「ホワイトハッカーに転身させろ」で解決しない訳
当時はまだ多国籍企業がオフショア拠点を設立する以前で、国家も企業も優秀な若者の受け皿を用意できなかった。その結果、技術を持った優秀な若者が収入を得るために、国外の怪しい仕事やダークサイドの案件に関わるようになったという話は、業界ではよく知られている。
彼らは最初から犯罪者になりたかったわけではない。生活の手段として選択肢がほかになかったのだ。世界の未成年のサイバー犯罪を考えるとき、この経済的な背景を無視することはできない。
25年にイギリスの大手小売店が狙われたサイバー攻撃では、10代の男性3人と20歳の女性1人の逮捕が報じられた。日本と異なるのは、未成年が1人で突っ走った話ではなく、資金洗浄が絡んだ「組織犯罪」である点だ。
若年層がサイバー犯罪の実行役として組織犯罪に取り込まれ、使い捨てにされる。これは所得格差が広がりつつある日本にとっても他人事ではない。しかも、分業はオンラインで完結し、仲間は簡単に集まる時代だ。
「承認格差」が若者を追い込む
私が最近強く感じているのは、「承認格差」の問題だ。ネットが世界のすべてだと思っている若者が増えている。学校や地域、家庭といったリアルなコミュニティーがおろそかになってしまい、スマホやパソコンの画面の向こうにある反応が承認の手段になっている。
生成AIはその傾向をさらに強める。質問すればすぐに答えが返ってきて、プログラムも書いてくれる。自分が急に万能になったような感覚を持ちやすい。ここにSNSが重なると、悪ノリの入り口は一気に開く。少し危ないことを発言してみて、その反応が返ってくる。実際にやってみる。次はもう少し過激にする――このサイクルに一度入ると、抜けるのは難しい。
この承認のサイクルが厄介なのは、本人が悪いことをしているという自覚を持ちにくい点だ。「技術的にできることを試しただけで、誰も直接傷つけていない」「対策していない企業が悪い」と、自分を正当化する言葉が簡単にそろってしまう。
リアルな大人や先輩との接点が少ないほど、その歪みは修正されない。また、注意してくれる人がいても、歪みを自覚できない場合は多々ある。今の若者にとっては、注意の言葉よりもネットの承認のほうが、圧倒的に価値が大きいからだ。





















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