「このままでは子供の命を守れない…」阪大小児外科医が語る現場のリアル――少子化で起こる小児医療崩壊の波に打ち勝つ"次の一手"とは

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成人の外科ではすでにAIを活用した教育、診療は始まっている。小児外科が遅れている理由は、患者数が少ないゆえ採算が取りにくく、支援する企業が多くないという理由がある。

そこで、渡邊さんは他科の医師やエンジニアとともに「AIで次世代外科教育をつくる」プロジェクトを立ち上げ、「AIで手術を“見える化”する。未来の外科医療を切り拓く」と銘打ってクラウドファンディングを始めた。

「もともとは外科教育を受けている若手外科医が、自分たちで学べる仕組みを作ろうと始めたもの。ですが、外科や小児外科が抱える問題の解消にも役立つと思い、広く呼びかけることにしました」(渡邊さん)

ともにプロジェクトに携わる大阪大学医学部附属病院消化器外科助教の三吉範克さんは、次のように話す。

「消化器外科の医師数は、10年後には4分の3、20年後には半分に減るとされています。進化している先端技術やAIを駆使して効率を上げることができれば、(外科医不足を)乗り越えることができるのではないかと考えています」

小さな一歩が大きな変化に

子どもの病気の多くは一度の手術で終わらず、何年もかけて、何度も体にメスを入れなければならないことも多い。「医療者と親と子どもが同じ方向を向いてがんばっていくのが、小児外科のよいところ」と渡邊さん。

「もちろん、AIが外科医育成のすべてを担えるとは思っていません。 それでも、理想的な大改革を待つのではなく、今ある技術を活かしてできることから始めるべきだと考えています。小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化につながると信じています」

クラウドファンディング「AIで手術を“見える化”する。未来の外科医療を切り拓く」はこちらになります
渡邊美穂(わたなべ・みほ)
大阪大学大学院医学系研究科外科学講座小児成育外科教授。医学博士。医療倫理修士。筑波大学医学専門学群卒。筑波大学小児外科、アメリカ・フィラデルフィア小児病院小児外科胎児外科、シンシナティ小児病院小児外科胎児外科、東京大学小児外科を経て、2019年から大阪大学小児成育外科、2025年から現職。日本小児外科指導医。
三吉範克(みよし・のりかつ)
大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学部助教。医学博士。神戸大学医学部卒。大阪大学病院消化器外科、大阪府立成人病センター(現・大阪国際がんセンター)外科、アメリカ・ハーバード大学マサチューセッツ総合病院などを経て、2018年から現職。日本外科学会国際委員、日本内視鏡外科学会技術認定医・ロボット支援手術認定プロクター、大阪国際がんセンターがん医療創生部プロジェクトリーダー。
大西 まお 編集者・ライター

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おおにし まお / Mao Onishi

出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、宋美玄 著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

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