「結婚式がなくなる時代」に結納専門店はどう生き残る?→101年続く"老舗"を救った「昆布で切り絵」の《発想転換》
「若い人が『知らないから』『面倒だから』と結納・結納返しを省くのは残念だと思いました。実際、指輪を贈るだけというカップルがほとんどです。しかし、今でも『結納をきちんとしたい』と考える親御さんは多いのです。結婚する当人同士はすでに故郷を離れ、結婚式を都内で挙げる場合でも、富山のホテルで結納だけを行うケースがあります。両家の出会いの機会を大事にしてほしいです」
高桑乃し店は富山市内の二つのホテルと提携し、ホテルからの依頼で結納品を納めている。紹介を受けた後は直接、依頼主とメールや電話で要望を聞き、結納品をそろえる。このほか、料亭や宝飾店、神社などからの紹介もある。
結婚するカップルよりも親のほうが「節目として結納をしっかりしたい」と思うことが多いらしい。少子化などの影響もあって年々、依頼を受ける件数は減っているが、稔さんは「依頼先に結納の品を納める時に両家の繁栄を願いながら並べる気持ちは祖母の頃から変わらない」と話す。
水に戻すと絵が浮かぶ—“食べられる切り絵”の衝撃
前置きが長くなったが、ヒット商品「細工昆布」について紹介する。アイデアの源は、結納のために富山市を訪れる観光客と帰省客への心配りにあった。
結婚するカップルの一方の親が富山在住で、他方の親と子は県外在住という場合が少なからずある。高桑さんは「結納を機に初めて富山を訪問し、観光する親御さんや、久々に帰省する若者に対して、富山のことをアピールできないか」と思った。そこで毎年9月1日から3日間にわたり富山市八尾町で開催される伝統行事「おわら風の盆」にちなんだ商品の製造・販売を始めた。
最初に製作したのが、「おわら恋文」というグリーティングカードである。4種類あり、切り絵で踊りの様子を表現している。この切り絵のデザインを活用して2015年に発売したのが「おわら昆布」だった。サラリーマン時代に培った経験から、北海道の食品加工メーカーで昆布を切り絵のように加工してくれるところを見つけ、「和紙の代わりに昆布で切り絵を」と依頼した。これがヒット商品「細工昆布」の誕生である。



















