俵万智が語る「嫌悪感あった『ラップ』に惹かれた」理由 和歌との意外な"共通点" 子どもがラップに興味を持ったのは「親子の言葉遊び」から…?

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しりとりで相手を困らせたくて、同じ文字で終わる単語を蒐集するというのも親子のあいだで流行った。

特に 我々は「す」攻めに熱中。普通にタンスとかアイスとかバスとかでは飽き足りず、スス(煤)、スイス、スライス、ストレス、スーツケース、スペース、スムース、スキルス、ステルス、スパイス、スクラロース……と、「す攻め返し」のための言葉をあさった。

さらに万策尽きると「す! 鳥の巣!」「す! すっぱい酢!」「す! 素顔の素!」「す! 大根の中にできるす!(鬆)」「なんだよ、それ」……というような一文字攻防戦も展開。

ラップに興味を持った“きっかけ”

こうして振り返ると、息子がラップに興味を持ったのは、幼いころの言葉遊びに端を発しているような気もしてきた。今はスマホのアプリに「ラップバトル」というのを入れて熱中している。制限時間内に、画面に出てくる単語と韻を踏んでゆくというものだ。

私も試しに挑戦してみたが、楽しくてクセになる。たとえば画面に「盾 たて」と出たら、母音が「あえ」になる単語を言えればオッケーだ。「豆 まめ」とか「酒 さけ」とか「壁 かべ」とか。

2文字なら難なくできるが、だんだん文字数が増えてくると結構手こずる。さらっとDさんの歌詞にある「天使か堕天使か破廉恥なペテン師」「聞かぬ忠告すでに中毒それが16」などが、すごいなあと身に染みる。

つかうほど増えてゆくものかけるほど子が育つもの答えは言葉

歌集『アボカドの種』の最後にはこの一首を置いた。「使えば使うほど増えるもの、なーんだ?」というなぞなぞの答えは「言葉」である。お金や時間やモノは使えば減ってしまう。でも言葉は、興味を持って使っているうちに芋づる式に増えてゆくのだ。ドラ探しや、なぞなぞやしりとりも、その可愛らしい例だろう。

また、子どもを植物にたとえるなら、言葉は光であり水である。かけるほど吸収され、栄養になっていくというのが実感だった。さらに成長した時には、かけてやる言葉の質も問われるだろう。肥料のようなものかもしれない。子どもが、少しでもいい方向に伸びるような言葉をかけてやりたいなと思う。

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