世界に民主化の流れをつくった「ピープルパワー革命」から40年/先頭ランナーのフィリピンはその後なぜ周辺国に劣後したのか
このうち民主化の先陣を切ったフィリピンで経済が伸び悩む理由として、選挙時のばらまきやポピュリズムの蔓延など民主主義の負の側面が指摘されることも多い。
それはその通りなのだが、シニアが敷いた20年にわたる独裁体制が最終的に経済破綻を招いたことを鑑みると、開発独裁を含めた権威主義が民主主義より経済発展に寄与するとは必ずしも言えない。
むしろ政変後に選ばれた7人の大統領はいずれ政治王朝の出身で、根を張る腐敗に切り込む意思も力もなかったことが隘路になったと私は考える。
父の政権の二の舞は避けられるか
東南アジアの経済成長は25年、トランプ関税の影響にもかかわらず概して順調だった。GDP成長率ではベトナムが8.0%と飛びぬけ、マレーシアは5.2%。インドネシアも5.1%と4年連続5%台を維持した。
最も豊かなシンガポールでも4.8%と好調だった。そんな中でフィリピンは4.4%と前年の5.6%から大きく減速し、政府目標の6~7%や世銀、IMF、欧米シンクタンクの予想を大きく割り込んだ。
特に年後半の減速が著しく、第4四半期は3.0%にとどまった。理由は政府のインフラ支出が止まったからだ。なぜか。
過去最多の得票で大統領選を圧勝したボンボンだが、タッグを組んだ副大統領サラ・ドゥテルテとその後敵対し、昨年5月の中間選挙ではドゥテルテ支持派議員の躍進を許して求心力が衰えていた。
7月に入り台風による浸水被害が各地で相次ぎ、政府の洪水対策が批判にさらされていた。形勢逆転を狙うボンボンはその後の施政方針演説で政府の無策を自己批判し、汚職撲滅を誓った。乾坤一擲の勝負手だったが、これをきっかけに幽霊事業や公金流用の実態が次々に明るみに出た。上下両院議長や官房長官ら複数の閣僚が辞任に追い込まれ、ボンボンの支持率も低下が続く。
疑惑解明を目指す独立調査委員会を立ち上げたが、委員が次々に辞任した。汚職を主導した大物をクリスマスまでに投獄すると大見えを切ったものの、年明けに元上院議員を1人逮捕しただけで実態解明も進んでいない。
汚職疑惑は公共事業道路省に限らず、教室不足を非難される教育省や税金の取り立てで企業を恐喝してきた内国歳入庁にも飛び火した。




















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