世界に民主化の流れをつくった「ピープルパワー革命」から40年/先頭ランナーのフィリピンはその後なぜ周辺国に劣後したのか

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世界の汚職を監視する非政府組織「トランスペアレンシー・インターナショナル」が発表した25年版の腐敗認識指数でフィリピンは182カ国・地域中120位。前年より6ランク順位を落とし、過去最悪となった。ASEAN6か国でも最低評価だ。

09年8月3日、マニラ首都圏マカティ市を進む故コラソン・アキノ元フィリピン大統領のひつぎ。同氏はピープルパワー革命の象徴だった(写真:AFP=時事)

汚職の広がりは歴史的かつ構造的だ。マルコス一家が逃亡した40年前にマラカニアン宮殿に残されたイメルダの「3000足の靴」などでシニア時代の腐敗ぶりは有名だったが、ボンボンから不正蓄財に対する反省の弁をついぞ聞いたためしはない。そのボンボンは「パンドラの箱」を開けてしまったものの、事態収拾の術もなく立往生している。

現政権は、違法薬物取締の過程で超法規的殺人を主導したとして「人道に対する罪」で逮捕状が発布されたサラの父の前大統領を国際刑事裁判所(ICC)に引き渡した。これによりドゥテルテ派との対立は抜き差しならぬものとなっている。

大統領の再選は憲法で禁じられている。一方のサラは2月18日、28年の次期大統領選に出馬すると表明した。かつてボンボン夫妻の暗殺にまで言及したサラである。勝てば必ずやマルコス家に復讐するだろう。

フィリピンでは今世紀に入り、後継の大統領の手によって2人の前職が投獄されている。サラが勝利すればマルコス家が40年前と同じく国外脱出する事態もありえない話ではない。

ボンボンは1月21日、大腸憩室炎で病院に緊急搬送された。本人はストレスが原因だとして、それ以上の健康不安を打ち消すが、はたして胸突き八丁の残り任期を乗り切れるか。いばらの道が待ち構えている。

柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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しばた・なおじ

ジャーナリスト。元朝日新聞記者(論説副主幹、アジア総局長、マニラ支局長、大阪・東京社会部デスクなどを歴任)、近畿大学教授などを経る。著書に「ルポ フィリピンの民主主義―ピープルパワー革命からの40年」、「バンコク燃ゆ タックシンと『タイ式』民主主義」。

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