おかげで一般道を普通に走るだけなら、運転にそれほど自信のないドライバーだってさして苦労はしないはず。乗り心地にしても、ある程度の覚悟が必要だったSF90ストラダーレとは異なり、気軽に乗れるし、長距離を走っても大して疲れないだろう。その意味において、849ストラダーレは極めて洗練されたスポーツカーだといえる。
そうした印象はサーキット試乗でも基本的に変わらなかったが、いざとなれば1050psを発揮するモンスターマシンらしい、獰猛な一面を見せることも判明した。
従順と過激、ふたつの顔を両立
フェラーリの全モデルには“マネッティーノ”と呼ばれるドライビング・モード切り替えが装備されているが、このマネッティーノでCTオフというモードを選ぶとトラクション・コントロールが解除され、ESCオフを選択するといざというときに電子制御でスピンを回避してくれるスタビリティコントロールがオフになる。
どちらも、本来はクルマが不安定な状態になるのを防ぐシステムだが、これらをオフにしてアクセルペダルを強く踏み込めば、後輪に爆発的なパワーが伝達されて路面を捉える力が低下。結果として、コーナリング中にこれを行えば車体後方がクルリとまわり始めて不安定な状態に陥ることが判明したのだ。
こんなときにはカウンターステアといって、コーナーの向きとは反対側にステアリングを切って体勢を立て直すテクニックが知られている。上級者のなかには、カウンターステアが必要な状態になるスポーツカーを好む向きが少なくないが、849テスタロッサも見事にそうしたキャラクターを残していたのである。
つまり、普段は乗りやすくて快適性も高いが、いざとなれば上級者をも納得させる操縦性を披露するスーパースポーツカーが849テスタロッサだったのである。
このように、モデルに応じて様々なキャラクターを作り分ける能力があるがゆえに、フェラーリは先に述べた「Different Ferrari for Different Ferraristi」「Different Ferrari for Different Moments」を実現できているともいえる。言い換えれば、巧妙なモデル戦略とそれを実現する開発力こそが、フェラーリ躍進の秘密なのである。
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