【モデルを細分化することで多くの顧客を生むビジネス】なぜフェラーリは成功を収めているのか、新型車「849テスタロッサ」のポジション

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849テスタロッサを運転する筆者
849テスタロッサを運転する筆者(写真:Ferrari Japan)

おかげで一般道を普通に走るだけなら、運転にそれほど自信のないドライバーだってさして苦労はしないはず。乗り心地にしても、ある程度の覚悟が必要だったSF90ストラダーレとは異なり、気軽に乗れるし、長距離を走っても大して疲れないだろう。その意味において、849ストラダーレは極めて洗練されたスポーツカーだといえる。

そうした印象はサーキット試乗でも基本的に変わらなかったが、いざとなれば1050psを発揮するモンスターマシンらしい、獰猛な一面を見せることも判明した。

従順と過激、ふたつの顔を両立

パフォーマンスは、最高速度330km/h、0-100km/h加速2.3秒、0-200km/h加速6.35秒を誇る
パフォーマンスは、最高速度330km/h、0-100km/h加速2.3秒、0-200km/h加速6.35秒を誇る(写真:Ferrari Japan)

フェラーリの全モデルには“マネッティーノ”と呼ばれるドライビング・モード切り替えが装備されているが、このマネッティーノでCTオフというモードを選ぶとトラクション・コントロールが解除され、ESCオフを選択するといざというときに電子制御でスピンを回避してくれるスタビリティコントロールがオフになる。

どちらも、本来はクルマが不安定な状態になるのを防ぐシステムだが、これらをオフにしてアクセルペダルを強く踏み込めば、後輪に爆発的なパワーが伝達されて路面を捉える力が低下。結果として、コーナリング中にこれを行えば車体後方がクルリとまわり始めて不安定な状態に陥ることが判明したのだ。

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こんなときにはカウンターステアといって、コーナーの向きとは反対側にステアリングを切って体勢を立て直すテクニックが知られている。上級者のなかには、カウンターステアが必要な状態になるスポーツカーを好む向きが少なくないが、849テスタロッサも見事にそうしたキャラクターを残していたのである。

つまり、普段は乗りやすくて快適性も高いが、いざとなれば上級者をも納得させる操縦性を披露するスーパースポーツカーが849テスタロッサだったのである。

このように、モデルに応じて様々なキャラクターを作り分ける能力があるがゆえに、フェラーリは先に述べた「Different Ferrari for Different Ferraristi」「Different Ferrari for Different Moments」を実現できているともいえる。言い換えれば、巧妙なモデル戦略とそれを実現する開発力こそが、フェラーリ躍進の秘密なのである。

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大谷 達也 自動車ライター

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おおたに たつや / Tatsuya Otani

1961年神奈川県出身。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。

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