「移民とジェンダー」がアメリカ民主党を自壊させた納得理由 かつての「庶民の党」が「労働者や中間層」から完全に見放された「失敗の本質」

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ハリスの選挙運動は女性の権利を強く訴える一方で、米国におけるオピオイド危機の犠牲者の中心である若年男性の苦境には無関心としか思えない姿勢を示した。民主党の指導者らも「有害な男性優越主義」を批判した。

その結果、黒人やヒスパニックまで含めて労働者階級の男性はトランプと共和党にひきつけられていく結果となった。トランプ陣営は総合格闘技団体UFCを持ち上げて、ダナ・ホワイト会長に共和党全国大会で重要な役割を与えたりして、男性労働者らの支持を集めたのである。

さらにハリスは、化石燃料の使用を大幅に削減し最終的には廃止することで気候変動に対処するという公約を打ち出し、民主党もこれに追随したことが裏目に出た。

資源採掘や化石燃料に依存するウェストバージニアのような州はかつて民主党支持だったが、早いところでは2000年頃には民主党は支持を失い始めていた(石油由来の肥料に依存する農業州でも同様のことが起きた)。

2024年の選挙では、ハリスと民主党は化石燃料使用削減や廃止という方針のため、激戦州でもっとも重要なペンシルベニア州で不利を強いられた。また、農業関連の地方や小都市の有権者の間での民主党の苦戦の主因となった。

2024年、こうした主張(その一部は何十年も前からあった)がハリスと民主党の敗北につながったのである。

2028年に起こり得ること

では、次に何が起こるのだろうか。

アメリカ政治の特異性は、二大政党が極端な勢力に動かされている点にある。

選挙は、どの過激な主張が有権者の記憶にもっとも強く残るかに左右されるようになってきた。

2020年選挙ではトランプによる行き過ぎた言動が、2024年には民主党による同様の言動が、有権者を遠ざけた。

2028年には、トランプの対外経済政策がもたらす混乱、共和党による億万長者への優遇措置、医療・医学研究支援を含めた政府支出措置への反対姿勢、女性や家族についての福音派による極端な見解への追従、そしてトランプと共和党による憲法違反ともいえる行動に直面した有権者は、おそらく民主党へ回帰する可能性がある。

そうなれば、アメリカ政治は真っ向から異なる政策の間を激しく揺れ動き、世界は恐怖と不信の眼差しでアメリカを見つめることになるだろう。

ジョン・B・ジュディス ジャーナリスト

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John B. Judis

『トーキング・ポイント・メモ』編集長、『ナショナル・ジャーナル』誌のシニア・ライター、『ニュー・リパブリック』誌のシニア・エディターを務め、現在に至る。著書に『The Emerging Democratic Majority』(共著)、『The Populist Explosion』『The Paradox of American Democracy』などがある。

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