「私個人の意見なので参考には…」自分の感情を封印し、「安全な一般論」を選択する。若者の変容に見る日本社会の行く末

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稲田:こういう話をすると、「今の若者はけしからん」とか、「どう改善していけばいいんですか」といった反応が必ず出てくるんですが、僕はそれよりまず、そういう価値観の若者が増えていることを解像度高く、正確に理解することが大事だと思っています。

金間:同感です。僕自身も、「若者の無敵化」は社会問題ではなく、社会現象だと書きました。良し悪しではなく、価値観が違うという事実をまず受け止める。

若者はその時代の「炭坑のカナリア」

稲田:金間先生も僕も若者に焦点を当てた本を書いていますが、言いたいことは、それを踏まえて「これからの社会がどうなっていくかを議論すること」です。

社会の影響を真っ先に受けて世の中から叩かれるのは、その時代の若者たちです。僕が22年に『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)を出版したときも、当初は「映画やドラマを倍速で観るなんて、そんなけしからん若者がいるんですか!?」という年輩の方からの反応が多かったのですが、4年経った今では、年配層も普通に早送りで観ています。

その意味で、若者は「炭坑のカナリア」なんですよね。大きな社会変化の予兆を真っ先に知らせる存在。

金間:若者の価値観はまだ大きく変化しています。若者の特徴だった「いい子症候群」の傾向は上の世代にも浸透していって、今の20代はむしろ「いい子の装い」すらしなくなってきました。だから「無敵」なんです。

稲田:おそらく今日お話ししたようなことは、数年後にはもっと顕在化し、当たり前になっているのではないでしょうか。それこそ倍速視聴習慣と同じで。企業も社会も、それに対してどう準備していくかが問われると思います。

金間 大介 金沢大学融合研究域教授、北海道医療大学客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士(工学))、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、東京農業大学准教授等を経て、2021年より現職。専門はイノベーション論、マーケティング論、モチベーション論など。若手人材や価値づくり人材の育成研究に精力を注ぐ。大手企業のほか、医療機関や社会福祉法人との連携も多数。主な著書に『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)、『静かに退職する若者たち』(PHP研究所)、『ライバルはいるか?』(ダイヤモンド社)など。一般社団法人WE AT副代表理事、一般社団法人日本知財学会理事も務める。

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稲田 豊史 編集者・ライター

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いなだ とよし / Toyoshi Inada

1974年、愛知県生まれ。ノンフィクションライター、編集者。横浜国立大学経済学部卒業後、映画配給会社のギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)に入社。その後、キネマ旬報社でDVD業界誌の編集長、書籍編集者を経て、2013年に独立。著書に『本を読めなくなった人たち コスパとテキストメディアをめぐる現在形』(中公新書ラクレ)、『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)、『このドキュメンタリーはフィクションです』(光文社)、『ポテトチップスと日本人 人生に寄り添う国民食の誕生』(朝日新書)、『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『ぼくたち、親になる』(太田出版)などがある。

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