まず、AI企業の経営者や投資家の多くが、企業の情報システムの実態をどこまで理解しているかという問題があります。
AIでプログラムを生成すること自体は可能でも、その法令遵守や処理精度をどう担保するのか。検証には相応の専門性と手間が必要になります。既存システムとの連携も簡単ではなく、相当な工数を要しますし、その後の保守・運用責任も継続的に発生します。
多くの企業において、情報システム部門の体制を大きく変えない限り、本格的な内製化は難しいでしょう。そのためには予算も時間も必要になります。
さらに、AI業界側にも事情があります。AIのビジネスモデルは依然として模索段階にあり、決定的なユースケースが確立したとは言い切れません。開発や運営に巨額のコストがかかる中で、収益化はこれからという企業も少なくありません。
企業がSaaSに支払っている予算をAIに振り向けさせたい、というインセンティブが働くのは自然なことです。
結論、「SaaSの死」は本当に訪れるのか
理論上ではAIによる内製化は可能です。しかし実務レベルでは、精度と専門性の維持、システム連携の負担、継続的な保守運用といったハードルが立ちはだかります。
「SaaSを内製化で代替する」ことによる経済的便益は、想像ほど単純ではないかもしれないのです。加えて、その負担を企業の情報システム部門が本当に引き受けるのかという現実的な問題もあります。
確かにリストラが進めば座席数の減少は避けられず、SaaS企業への影響は小さくないでしょう。ただ、短期的(1〜2年程度)に「SaaSの死」が巨大なトレンドになるとは、現時点では言い切れないのではないでしょうか。
とはいえ、AIの進化に伴う内製化の選択肢が広がっていること自体は事実です。これは企業にとって、IT実装の自由度が増すことを意味します。
巨額を動かす投資家でないのであれば、「SaaSが死ぬかどうか」に時間を費やすよりも、この選択肢の広がりをどう生かすかを考えたほうが建設的かもしれません。
もっとも、それは「AIによって自分自身の仕事が代替されない限り」という条件付きの話になりますが……。
いずれにせよ、AIとSaaSの関係は、今後もしばらく注視すべきテーマだと言えるでしょう。
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