「2034年」AIが社会の隅々まで浸透した世界でどう生きるか——"伝説のエンジニア"が示す未来予測

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この小説「ユートピア」で描いたのは、そう遠くない未来に人類が直面するであろう問いです。AIと人型ロボットが労働の8割を代替した社会。ユニバーサル・ベーシックインカムによって、衣食住は保障されている。経済的困窮による自殺者はゼロ。餓死者もゼロ。数字だけ見れば、理想的な社会です。

しかし、小説の中で官僚たちが直面したのは「生きがいの喪失」という、より深刻な問題でした。精神疾患の罹患率は過去最悪。無気力症候群は増加。「退屈だった」「自分が生きていることを確認したかった」という動機による犯罪の増加。

古代ローマの風刺詩人・ユウェナリスが遺した「パンとサーカス」という言葉をご存じでしょうか。かつての権力者は、市民に食料(パン)と刺激的な娯楽(サーカス=剣闘士の試合など)を無料で与えることで、人々の不満を抑え込み、政治への関心を弱めていきました。

しかし、この統治手法には重大な欠陥があります。パンとサーカスは、人間の精神に「存在意義」を与えることはできないという点です。

人類は何万年ものあいだ、社会的なライフスタイルのもとに進化してきました。「他人に必要とされている」「家族を支えている」「社会の役に立っている」という感覚、つまり“生きがい”が人生を充実したものにするために不可欠なのです。

「AIX」によって大企業が淘汰される

さて、そもそもですが小説で描いたような「AIと人型ロボットが労働の8割を代替する未来」は本当にやってくるのでしょうか。

私はかなり高い確率で実際にやってくると思っています。ここでキーワードになるのが「AIX(AIトランスフォーメーション)」です。AIXがこれからの社会を根本的に覆していくでしょう。

AIXと聞いて、「いまの業務にChatGPT などのツールを導入して、仕事を効率化することでしょ?」と思ったなら、大きな間違いです。それは単なる「改善」にすぎません。

かつてDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれたときも、同じ誤解がありました。多くの企業は、既存のアナログな業務を単にデジタルに置き換えただけで「我が社はDXが完了した」と満足していました。それでも効率化はできましたが、“真のDX”とは、そんな小手先の効率化ではありません。

次ページAIファーストを宣言したDuolingo
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事