上智は理工で世界を目指す 国内外の学会や海外最先端大学で得られるもの

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理工学専攻電気・電子工学領域博士前期課程1年
上田凌さん

こうして培った英語力は、さまざまな場において存分に発揮され、特に近年では、学生が国内外の学会に参加する機会も飛躍的に増えている。

2015年9月には理工学専攻電気・電子工学領域博士前期課程1年の上田凌さんが、IEEE(米国電気電子学会)国際会議のBest Student Paper Awardファイナリストに選ばれた。また、10月には理工学専攻化学領域博士前期課程1年の笠井祐那さん、鈴木崇人さんが、2015年日本イオン交換学会・日本溶媒抽出学会連合年会の優秀ポスター賞を受賞するなどの評価を得ている。

「私の研究室では、ほとんどの大学院生が国際学会への参加を経験しています。大学としても奨学金制度を設け、支援体制を整えていますが、来年度からはさらに割り当てを増額する予定です」(築地学部長)

「小さな総合大学」が実現する
国内随一の国際性と多様性

さまざまなバックグラウンドを持つ学生や教員と接することで、異文化への理解を深め、グローバル社会の多様性を理解することができるのも同大学の強みだ。

その象徴とも言えるのが、すべての講義、実験、研究指導を英語で行い、世界各国からの留学生が集まる英語コースだろう。12年秋学期からは物質生命理工学科の「グリーンサイエンスコース」と、機能創造理工学科の「グリーンエンジニアリングコース」が開設された。翌13年秋学期からは大学院に「グリーンサイエンス・エンジニアリング領域」が開設され、15年9月には初めての修士号が授与されている。

「アメリカや中国はもちろん、インドネシア、トルコ、エチオピアなど世界各国からの留学生を受け入れています。ゼミでは日本語と英語が混在して飛び交っているので、日本人学生も半日常的に英語が使えるようになります」(築地学部長)

多様性の尊重という点では、女性研究者支援にも注目したい。文科省の女性研究者支援モデル育成事業で最高ランクの評価を受けた「グローバル社会に対応する女性研究者支援」プロジェクトでは、グローバルに活躍する女性研究者の育成を目指している。国内外で活躍する女性研究者を招いての講演会や、グローバル企業の女性エンジニアとの交流イベント等を催し、女子学生のキャリアアップをバックアップ。

また、高校生を対象とした実験教室の開催など、次世代に目を向けることも忘れない。さらには、学内託児所の開設や妊娠中・育児期の研究支援員配置など女性が研究を行いやすいシステムを整え、積極的に女性教員を受け入れている。研究支援員配置制度は男性教員にも多く利用されており、14年度は男性教員の利用率が女性教員を上回った。

「本学部の物質生命理工学科の1~2年生の約半数は女子学生。研究者については2019年までに女性の割合を理工学部全体の20%まで引き上げることを目標としていますが、昨年度までですでに12%超えを達成しています」(築地学部長)

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