海外では、無償化や無料配布が進んでいるにもかかわらず、取材当時は、いま以上に日本社会全体が、「生理は話しづらいこと」という固定観念を持っていた。メディアで取り上げれば、この問題への意識が変わるのではないかと感じ、ひと月かけて取材を進めていた。
取材時のカメラマン、音声マンなどの技術スタッフもすべて女性のチームにし、取材される側の配慮にも努めた。取材を終えたあとは、撮った素材の内容を原稿にし、編集マンにつなげてもらった。
しかし、当時は「生理の貧困」が世間に問うべき社会問題であることや、ジェンダー問題と生理の貧困がどう結びつくのかの理解が難しく、残念ながら取材した内容は放送されないという結果に終わった。
それに当時は「生理の貧困」について放送している報道機関も非常に少なかった。26年現在であれば、また違った結果になっていたかもしれない。
アナウンサーはキラキラしていて、いわば特別扱いを受けるだろうと思っている人も多いが、このように、実際の仕事は案外泥臭い。自分で企画することもあるし、収録や取材の準備、足を運ぶことも多い。時には、どれだけ時間をかけても評価されなかったり努力が実らなかったりすることもある。
「妊娠・出産報告」に批判の声も出るが…
この「ギャップ」という面では、もう1つ、象徴的なことがある。アナウンサーの「妊娠・出産報告」だ。
近年、芸能人がSNSで妊娠や出産の報告をするのが当たり前になりつつあるが、アナウンサーも担当番組やSNSで報告するケースを頻繁に目にするようになった。
これに対し、「芸能人でもないくせに」「会社員であるアナウンサーの報告はいらないのでは?」という声がよく聞かれる。実際に、プライベートな問題なので発表は控えたいと思っているアナウンサーだっている。
しかし、表に出る仕事である以上、急に番組を休み、代打のアナウンサーの出演が続けば、視聴者から疑問や心配の声が上がることもあるため、報告をしたほうが自然なのだ。
妊娠・出産のリスクはゼロではないため、妊娠後の出産報告を無事にできるか不安に感じる女性もいる。アナウンサーであっても同じだ。通常であれば家族や友人、社内でも業務に関わる人に報告をすれば済むが、不特定多数の人に向けて「報告」をしなくてはならないのは大きなプレッシャーがかかる。
実際に私の知り合いの女性アナウンサーも同じように、無事に出産が終わるまでは本当に不安だったと語っていた。

