たとえば「たくろう」のボケ担当・赤木さんは、今回の決勝戦における男性参加者のなかで唯一ジャケットを着ていませんでした。渋い色の柄シャツを第一ボタンまで留めた着こなしと前髪をパツッと揃えた髪型は、キョドキョドしたキャラクターを「言葉同様に、視覚的にも表現していた」ように感じました。もし仮に、他の漫才師のようなスーツ姿だったとしたら、視聴者の受け取り方も大きく変わっていたのではないでしょうか。
ここから私たちが学べることは、自分の実績や立場がまだ十分に知られていない場面ほど、「戦略的な印象づくり」が有効に働くという点です。これは漫才師に限った話ではありません。むしろ初対面の機会が多いビジネスマンほど効果を発揮します。
「ドンデコルテ」の衣装が効果的だった理由
強烈な説得力で輝いていた「ドンデコルテ」の衣装戦略も印象的でした。ボケ担当・渡辺さんは、ダークブラウンのスリーピーススーツを着用。しかもベストはダブルブレストと呼ばれるクラシカルなデザインで「ただ者ではない雰囲気」が、一瞬で伝わる設計でした。
ちなみに漫才師という文脈では、このクラシカルなデザインは珍しいものではありません。同じく決勝進出コンビの「めぞん」のボケ担当・吉野おいなり君さんもダブルブレストのベストを着用していました。ところが「ドンデコルテ」が繰り出す漫才の世界観においては、このスタイルは「別の意味」を持っていました。
渡辺さんの話しぶりは、断定的で自信に満ちています。どこかセミナー講師や教祖を思わせるトーンがありますが、もしカジュアルな衣装ならあそこまでの説得力は生まれず、漫才の世界観に没入しづらかったかもしれません。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら