JRA

ディープインパクトは今も競馬界を席巻中! 種馬としても圧倒的だった最強三冠馬

拡大
縮小

牝馬が受胎しなくても1200万円を払わなければいけないうえ(受胎後に払うシステムのほうが一般的)、産駒がセリ(市場)で売れなければ生産牧場は大損をしてしまう。それでも種付け希望は殺到し、年間で215頭も「花嫁」が集まった。初年度種付け料の総額25億8000万円は引退後初のレコード樹立と言っていいだろう。

08年春、ディープインパクトの子ども達は続々と誕生。そして7月、2世たちが国内最大の馬のセリ市であるセレクトセールに登場した。39頭のディープインパクト産駒を、馬主たちが次々と競り落とす。活発な競り合いで、2億2000万円もの値がついた馬もいた。結局、1億円以上の高額取引馬が4頭も誕生したが、この年は31頭が総額19億1000万円で売れ、ゼロ歳馬の取引価格として当時の記録だった。

 

05年の日本ダービーでは、まさに「飛ぶように走り」、2着に5馬身差をつけて圧勝(写真:日刊スポーツ/アフロ)

そして、いよいよディープインパクト産駒がデビューした10年。6月の東京でサイレントソニックが産駒第1号となる新馬戦を勝ち上がると、その後も牡馬、牝馬問わず次々と勝利を飾っていき、12月にはダノンバラードが産駒初となる重賞初制覇を遂げた。この年、産駒たちが積み上げた勝ち星は41で、これもまたJRAの2歳戦史上最多勝でレコード。自らの優れた競走能力を、しっかりと子どもたちに伝えていた。しかし、競馬ファンに与えた「衝撃」はまだこれが序の口だった。

通算1000勝、重賞100勝
日本競馬界の悲願達成へ

翌11年の桜花賞では、娘のマルセリーナが父を彷彿とさせる末脚で産駒のクラシック初制覇を飾り、リアルインパクトが3歳馬としては初めて安田記念で勝利。さらに、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズをジョワドヴィーヴルが勝ち、ほかにも重賞(GⅢ)競走を5勝。結果、約24億6000万円もの賞金を稼ぎ、2~3歳のわずか2世代でリーディングサイアーランキングの2位につけた。

次ページ14年、圧倒的なリーディンサイアーに
用語解説
産駒<さんく>
ある馬から生まれた子ども。
重賞<じゅうしょう>
高額の賞金がかかる特定のレース。GⅢ、GⅡ、GⅠの順で賞金も注目度も上がる。
クラシック
伝統的なレースで、日本では皐月賞・日本ダービー・菊花賞・桜花賞・優駿牝馬(オークス)のことを指す。
三冠<さんかん>
3歳限定のGⅠである皐月賞、日本ダービー、菊花賞の3レースのこと。牝馬も出走は可能。
顕彰馬<けんしょうば>
JRAの発展に多大な貢献のあった過去の名馬の功績をたたえ選出される。
種牡馬<しゅぼば>
繁殖用のオス馬。サイアー。競走馬として優秀と見なされないと種牡馬にはなれない。
牡馬<ぼば>
オス馬。
牝馬<ひんば>
メス馬。
リーディングサイアー
産駒の年間獲得賞金における種牡馬の順位。また、そのトップの種牡馬。
牝馬三冠<ひんばさんかん>
3歳の牝馬限定のGⅠである桜花賞、優駿牝馬(オークス)、秋華賞の3レースのこと。牡馬は出走できない。

 

お問い合わせ
日本中央競馬会

http://umabi.jp/