米中貿易休戦は海外投資家の中国投資を促す効果、中国株は2019年以来の年間上昇率を記録、とはいえ「貿易紛争終結」ではない点に留意が必要

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しかし、外国投資資金は慎重な振る舞いを見せており、AIや中国の自給自足政策に関連するセクターにとどまり、幅広い投資ポジションは避けている。LSEGリッパーのデータによると、外国人投資家は今年これまでに中国株に特化したオフショアファンドから39億ドルを引き揚げた。

中国の経済規模は世界国内総生産(GDP)の5分の1を占めるにもかかわらず、外国人投資家の保有比率は低い。金融サービス企業モーニングスターのデータによると、世界の大手ファンドが9月末時点で保有する中国投資ポジションは平均して1.43%だ。

香港の資産運用会社KGIのカッソン・リョン最高投資責任者は、米中関係の緊張緩和の兆しを前向きに見ている。「今日の相場が下げたので中国株の保有ポジションを引き続き増やす」とリョン氏は述べた。しかし、それは貿易協議というよりも、中国経済の回復を当て込んでいるという。

競争と協力

投資家にとっては米中が激しく競争しながら一部で協力してさえすれば、表面上は投資機会が存在する。

「両国ともに自国のサプライチェーン(供給網)の安全保障を強化しようという意識がまだあり、こうした事情がさまざまなセクターの国内企業にとってビジネスチャンスにつながる」と上海に拠点を置くJPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、チャオピン・ジュー氏は述べた。

BNPパリバやゴールドマン・サックスのアナリストは、中国株を押し上げる強力な国内要因があると予測している。

ゴールドマン・サックスは先週公表した報告書で政策、成長、資産価値、資金フローといった要因が中国本土と香港の株価指数を2027年末までに約30%押し上げると見込んだ。「米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和とドル安が重なって、世界のファンドが中国投資を再検討し、中国株を一貫してアンダーウェイトとしていた評価を是正する可能性があるだろう」と述べた。

それでも、誰も貿易紛争の終結を宣言できる状況になっておらず、投資家は引き続き慎重さが求められる。

「投資家はこの不安定な均衡がどれだけ続くのかについてまだ懐疑的なため、楽観的な見方があまり織り込まれていない」とシンガポールに拠点を置くスタンダードチャータード銀行の外国為替市場ストラテジスト、デベシュ・ディヴヤ氏は述べた。

不確実性は減退したが、企業や多国籍企業が事業拡大や投資を検討するのは依然として非常に難しいという。

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