農林中金の「新たな試練」とは? 破綻した米企業の売掛債権を出資先のJA三井リース子会社が保有、JA三井リースが損失を出せば親会社にも影響

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モーニングスターのマイケル・マクダッド氏は、「JA三井リースが損失を出せば親会社にも影響する」と指摘。そのため、農林中金や三井物産にはリスクを管理できる経営陣を選ぶ責任があるとの見解を示した。 

JA三井リースは10日夕、保有する売掛債権の表面残高は17億5000万ドルだが、一部は投資家に売却しており実態は14億3000万ドルであると発表した。その上で適切に審査・リスク管理していると説明。同売掛債権の回収先はアマゾン・ドット・コムやゼネラル・モーターズ、フォード・モーターなどが占めているという。

農林中金は、JA三井リースは重要なグループ会社の1社であり、株主として引き続き状況を注視し適切に対応していくとコメントした。三井物も同様にコメントした。

ファースト・ブランズが先月、破産法適用を申請した時点で、カツミは約17億5000万ドル相当の債権を保有していた。公聴会の記録によると、カツミの弁護士チャールズ・ケリー氏は、10月1日にテキサス州の破産裁判所で、「この手続きが迅速に進み、回収が実現することを期待している」と語っていた。

23年に買収

JA三井リースは農林中金と三井物がそれぞれのリース会社を統合して08年に設立された。約2000人の従業員を抱え、幅広い業種にリース・金融サービスを提供している。23年にカツミを買収した。

JA三井リースの大株主は農林中金の43.42%と三井物の42.26%で、三井住友銀行や三井住友信託銀行、三井住友海上火災保険などもそれぞれ1%強を出資している。25年3月期(前期)決算によると、総資産は約3兆4000億円、純利益は374億円だった。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の伴英康シニアアナリストはファースト・ブランズの件は、必ずしも農林中金が過度にリスクを取ったというような事例ではなく、リスク管理について評判が「大きく毀損(きそん)するものではない」と指摘。債券投資の巨額損失を踏まえると、今回、「まとまった金額のエクスポージャー」が明らかになったのは不運だったと述べた。

著者:浦中大我、中道敬

ブルームバーグ
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