住民を襲う「マンション管理費の高騰」乗り越え方 人手不足と物価上昇の直撃からどう立ち直る

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※画像はイメージです
大手IT企業勤務の家守達之(46歳)は、ゆったりとした間取りと敷地内の豊かな緑に魅力を感じ、都市圏近郊ベッドタウンの中規模マンションを10年前に購入。家族4人で移り住み、穏やかに暮らしていた。
そんなある日、家守宅に1通の封筒が届く。
差出人は、マンション管理会社。飛び込んできたのは、「管理委託費改定のお願い」から始まる衝撃的な文面だった――。
実は今、少子高齢化の加速による深刻な人手不足が、マンション管理にも重大な影響を及ぼしている。人件費や資材費の高騰により、管理委託料の大幅な値上げを通告するマンション管理会社が急増しているのだ。必然的に、マンション管理組合には、自主管理か管理会社乗り換えかのいずれかを選択することが求められるが、ノウハウも人的リソースもない状況で自主管理に切り替えるのは現実的ではない。では、新たな管理会社を探す際、何に留意すればいいのだろうか。
※取材を基にした架空のストーリーです。登場人物はすべて仮名です

いきなり届いた事実上の契約解除予告「交渉の余地なし」

家守達之は、子どもを通じてほかの住民とも交流を深め、2年前からは管理組合の理事長を引き受けていた。ある水曜の朝、家守は週に2~3日と決めている在宅勤務の日だった。

彼は、在宅勤務の日は、あえて紙媒体で購読している全国紙をテーブルいっぱいに広げてじっくり読むのを楽しみにしている。その日も、郵便受けを嬉々として開いた。(「やっぱり紙で読むと違うんだよな〜……」)

マンション管理組合理事長・家守氏
マンション管理組合 理事長 大手IT企業勤務
家守 達之(46歳)※仮名
会社では部長職。ハイブリッドワークで時間に余裕ができたこともあり、2年前に理事長を引き受けた

しかし郵便受けに、新聞のほかにマンション管理会社からの手紙が入っていることに気づく。

「一昨日、理事会をやったばかりなんだから、そのとき渡してくれればいいのに」と思いながら封を切った家守の目に飛び込んできたのは、「管理委託費改定のお願い」から始まる衝撃的な文面だった。

A4のペーパーには、人件費や物価の高騰を理由に、現在の委託費を20%値上げするという内容が淡々と記されている。

末尾には、「万が一ご承諾いただけない場合、3カ月後をもって本契約を解除させていただきます」と記載されている。

「たった3カ月!? 値上げ通告というよりも、契約解除予告じゃないか」

思わずつぶやいた家守。優雅な朝の時間が吹き飛んだ。慌てて調べると、3カ月というのは契約上定められた最低限の通知期間で、国土交通省が策定している「マンション標準管理委託契約書」にも、そう記されていることがわかった。ルールにのっとった通告ではあるが、まったく予期していなかった家守にとっては、交渉の余地を与えない最後通牒と映った。

動揺しながらも、ビジネスの現場で何度も修羅場をかいくぐってきた家守は、いったん午前の業務を終え、昼休みに入ってすぐに情報収集を開始する。「マンション管理委託費 値上げ」「管理会社 変更」といったキーワードで調べた結果、判明したのはマンション管理を取り巻く環境の厳しさだった。人手不足は予想以上に深刻で、経営状況が厳しいため事業撤退を決めた管理会社が増えていることもわかった。

「確かにコストプッシュインフレでどこも厳しいのはわかる」とビジネスパーソンとして共感を寄せた家守。値上げに応じてやりたいという思いもよぎったが、現実を直視すればそれは無理だとすぐ気づく。20%もの大幅な値上げとなると、住民が支払う管理費に転嫁せざるをえないからだ。

そうなると、100戸以上に上る住民の理解を得る必要があるが、これまで修繕積立金の増額という話が出るたびに猛反対する住民が少なからずいたことを踏まえると、難航するのは目に見えていた。

管理会社に問い合わせるも、ハードルの高さに困惑

管理会社に委託せず、自主管理に切り替えるのも選択肢の1つだが、そうすると担い手を確保しなくてはならない。ゴミ置き場の管理や清掃、設備の保守点検といった管理業務だけではなく、管理費や修繕積立金の徴収・管理まで、ボランティアでやるのは無理がある。

「となると、管理会社を乗り換えるしかないか。実際にどうするか、副理事長や役員たちに相談するとして、乗り換え候補の絞り込みだけでもしておこう」(家守)

家守は、ウェブ検索をかけ、しらみつぶしに管理会社に電話をかけた。まずは見積もりを集めて比較検討しようと思ったのだ。ところが、現実は家守の想像をはるかに超えた厳しさだった。現在の管理会社の通告してきた内容をたたき台に各社に見積もりを依頼し、いくつかは担当者へのヒアリングまでこぎつけたが、納得できる提案は少なくハードルの高さを思い知らされた。それどころか、マンションの規模感や立地のせいか現在は相談を受け付けていない管理会社もあった。

「これはまずい」。次の理事会で議題にすればいいと思っていた家守は、事態が思った以上に深刻であることに気づき、副理事長の高垣和江(63歳)にメッセージを入れた。

マンション管理組合・副理事 高垣氏
マンション管理組合 副理事長 
高垣 和江(63歳)※仮名
フィットネストレーナー 。社交的でさまざまなコミュニティに属し、地域に幅広い人脈を持つ。15年前から管理組合の役員を務める

すると高垣は、1時間後に電話をかけてきてこう言った。

「私も調べてみたのだけれど『あなぶきハウジングサービス』はどうかしら? 知り合いにも聞いたら、一度他社に乗り換えたのに『やっぱりあなぶきさんがいい』と戻したというところもあったそうよ」

「そこはまだ問い合わせていませんでした」と高垣の顔の広さに驚きながら家守はそう返す。「その方はどんなところがお勧めだとおっしゃっていました?」(家守)。

「すごく親身になってくれるんですって。しかも『あなぶきハウジングサービス』のコールセンターは24時間365日有人対応だから、トラブルとか災害時の対応も素早いそうよ。そういうところなら、少なくとも話は聞いてくれるんじゃないかしら」(高垣)

コストとサービスのバランスが絶妙な提案力

 家守は、早速あなぶきハウジングサービスに電話をかけた。すると、すぐに担当者がマンションまでやってきた。高垣とともにこれまでの経緯を伝えると、担当者はこう述べた。

「本当にご心配でしたね。これまでご相談された管理会社もさまざまで、それぞれ特色があったかと思いますが、どうしても『人』を資本とするサービスなので折り合いがつかないことも少なくないんです。

あなぶきハウジングサービスでは、マンションの規模やお困り事に応じたサービスを用意しています。ですので、家守さんのお住まいのマンションで必要なサポートや反対に不要なサービスがどのようなものか、そこから一緒に考えさせてください」

「うちは比較的規模感のあるマンションだけど超大規模というわけではないんです。でも区分所有者もだんだん高齢化してきて合意形成も大変になってきています。それに修繕も控えているし……」(家守)

「規模の大きいマンションやタワーマンションでは、戸数が多く合意形成が難しいうえ、高い専門性を必要とする修繕が必要になっているケースが多いので専門業者の紹介やマンションの各区分所有者さんとのつながりやコミュニケーションを意識したサービスが必要です。

一方で、小規模マンションでは、戸数が小さいことにより1戸当たりの負担が大きくなります。こういったケースに合わせた、費用はできるだけ抑え、負荷の大きい管理業務のみを請け負うサービスも用意しています。

家守さんのお住まいのマンションはちょうど『その間』かもしれません」(あなぶきハウジングサービス担当者)

自分たちの置かれた状況に寄り添ってくれる姿勢に、家守も高垣も好感を持った。それがより深まったのは、数日後に送られてきた提案書を見たときだ。現状を踏まえて清掃をはじめとする管理業務が事細かに見直されていた。

「これを見ると、コストとサービスのバランスが考え抜かれていますね」と家守が話すと、高垣はこう続けた。

「物価上昇や賃金上昇の影響で、何もかもコストがかかるのはマンション管理も変わらないようね。さすがに、値上げを避けることは難しいとは理解しているわ。内容が充実しているから管理費を値上げするにしても、これならちゃんと払う理由を理解してもらえると思うわ」(高垣)

とくに2人の心を動かしたのは、オプションのコンシェルジュサービス「ハッピーサポート」である。マンション内での多様な困り事に電話1本で対応してくれる。部屋の中の水漏れや鍵の紛失といった専有部のトラブルには対応しない管理会社も多いが、「ハッピーサポート」に登録していればすぐに駆けつけてくれる。

ハピサポ

「入居者に高齢の方が増えているから、家具の移動だとか建具の不具合などでも駆けつけてくれるのはとても喜ばれるんじゃないかしら。1人暮らしの高齢者への見守りサービスや災害時の共助SNSが使えるのも、安心できるわ」(高垣)

家守は単に管理サービスの導入にとどまらず、“未来の安心”への投資になると感じた。その後もほかの管理会社からも見積もりを取り、何社かはヒアリングを行ったが、より好条件と思えるものはなかった。

持続的な安心と、住民の満足度向上を実現

管理会社の乗り換えと、管理費の増額について住民の承認を得るための臨時総会の日がやってきた。家守は、値上げ通告を受けてからの経緯を、率直に語った。

マンション管理の厳しい現状、修繕や建て替えまで含めた管理計画についてこれまでの管理会社との意見の隔たりがあったり、担当者が何度も代わって関係が希薄になってきていたりしたこと、そうしたことも踏まえ、複数の管理会社から現状の課題に対する具体的な解決策をヒアリングしながら丁寧に管理会社選びを進めてきたこと――。

管理会社の変更は、本マンションでは総会で参加者の過半数の賛成を得なければならない議案となるため家守も案じた。だが、家守と高垣を中心に各区分所有者からの賛同を得る活動を着実に進めてきたかいもあって、最終的に決議では満票に近い賛成を得ることができた。

賛同を得られたカギは、あなぶきハウジングサービスが現地での面談はもちろん、仕事で忙しい他の理事のために時に「オンライン会議」を通じてじっくり相談に乗るなどで住民の疑問を着々と解消し、好印象を得られたことにあった。

こうして、新たな管理会社として、あなぶきハウジングサービスを選択し、総会では管理費の増額が決定された。

しばらく経ったある日、高垣はいつものようにすれ違った住民の女性と会話をしていた。

「何年か前、水回りの様子がおかしくて管理会社に電話したことがあったじゃない? あの時は結局自分で業者を手配しなくちゃいけなくてトイレも貸していただいてありがとうね。それでね、2週間くらい前にまたトイレがおかしくなったんだけど、あなぶきハウジングサービスが的確な対応をしてくれたのよ。今どき、電話をかけても自動音声のところが多いけれど、(あなぶきハウジングサービスは)すぐ電話がつながるし、その場で直接話を聞いて業者さんを手配してくれたから助かったわ〜」(住民の女性)

高垣がその話を理事会であなぶきハウジングサービスの担当者にしたところ、「当社は教育に力を入れているので、管理スタッフだけでなく営業担当者を含む全社員が管理業務に必要な知識を体験的に学ぶ仕組みを整えています。それにあなぶきハウジングサービスは50社以上の関連会社があって、住居に関する各領域のエキスパートとのパイプが強いんです。ご相談事があればまずは私たちが対応し、より専門的な対応が必要となった際には迅速に専門家へおつなぎしますよ」という答えが返ってきた。

それを聞いて家守は、すべての点と線がつながった気がした。電話口の丁寧な応対、担当者の的確な提案、そして住民の安心感。すべては「人」を育てるという、実直で見えにくい企業努力の賜物だったのだ。マンションの安心を守り、未来を共に築くパートナーに出会えてよかった――。

家守は、「理事長としての責任を少しでも果たすことができた」と胸を熱くしながら、理事会を進行していった。
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