2025年上半期は約8900億円を日本株に投資、アクティビストの日本株買いは今年も最高額更新ペースで推移。企業側は株主還元やMBOで反応
アクティビストからの圧力を避けて経営の自由度を高めようと、企業が株式公開買い付け(TOB)や経営陣による買収(MBO)を通じて非上場化を目指す動きも増えている。ブルームバーグのデータによると、国内のMBO件数は今年24社と、昨年1年間の19社を既に上回る。
三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーは、「TOBやMBOが増えると、アクティビストだけでなくほかの投資家も資金を手にすることになる」と指摘。その資金が市場に還流することで、「相場が底堅くなっている感覚がある」と言う。
実際、今年上半期は米ファラロン・キャピタル・マネジメントとシンガポールに拠点を置く3Dインベストメント・パートナーズの活動が目立った。両社とも、米投資ファンドKKRが昨年実施した富士ソフトへのTOBに応募し、資金を回収していた。
ファラロンはアステラス製薬とT&Dホールディングス、ニッコンホールディングスの3社に投資をしたことが明らかになった。23年と24年に公開された投資案件はいずれも1件だった。3Dインベストメントもゲーム開発のスクウェア・エニックス・ホールディングスに大型投資するなど、日本株のポジションを大幅に増やした。
アクティビストの影響力が拡大
今年6月には化学メーカー、太陽ホールディングスについて、香港のオアシス・マネジメントなど主要株主が買収提案に対する対応の遅さなどを理由に佐藤英志前社長の再任案に反対。株主総会で同氏の再任が否決された。企業経営に与えるアクティビストの影響力が拡大したことを示す事例だ。
三井住友信託銀行によると、25年の6月総会では株主提案を受けた114社のうち、提案者がアクティビストら機関投資家だった企業は51社で過去最高を記録した。
ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は、アクティビストを警戒する必要性が現実のものになり、日本の企業経営者の意識や行動の変化につながっていると話した。
著者:佐野日出之
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