トランプ関税の試練、トヨタ自動車やホンダといった大手には吸収余力、一方でマツダや三菱自動車など中堅には厳しい状況が続く

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三菱自はすでに値上げを実施。米国に生産拠点がないことから、日産自動車の米国工場を活用して共同生産する案も検討している。三菱自は日本勢の中で米国でのシェアが低く、関税による値上げ実施は影響を特に受けやすい、と米自動車調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズのサム・フィオラニ副社長は指摘する。「車両コストが上昇すれば、市場での優位性を失いかねない」と話す。

三菱自は8月下旬、26年3月期通期の連結業績予想を下方修正し、営業利益を従来の1000億円から前年比50%減の700億円に引き下げた。関税措置の影響を見直したことや競争激化による販売減少や販売費の増加、インフレによるコスト悪化を織り込んだ。

加藤隆雄社長は下方修正の理由について、関税コストを吸収するために予定していた値上げや、値引き原資となる販売奨励金の削減を「想定通りに実行するのが困難」になったと説明。関税による販売減少を挽回するために米国以外の市場でも競争が激化しており、「販売費の増加などが今後さらに収益を圧迫する」と語った。

長すぎるトランプ大統領の任期

多くの自動車メーカーが生産拠点を置くメキシコとカナダが、米国との間で関税交渉がまだ決着していないことも懸念材料だ。

メキシコ国家統計局のデータによると、マツダの場合、メキシコからの米国への輸出台数は4月から7月までで前年同期比で54%落ち込んだ。メキシコから米国へ輸出する自動車メーカー12社の中で最大の落ち込み幅だった。

減少理由の1つには、収益性を維持するため、メキシコからの米国向け出荷を意図的に減らし、トヨタとの米国合弁工場(アラバマ州)でスポーツ多目的車(SUV)「CX-50」の生産を増やしたことがある。4月から7月までのマツダの米国販売は14万5039台で、前年同期(14万2246台)に比べ1.9%増えた。稼働率がその分低下するメキシコの生産拠点が、この先重荷となりうる。

英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツの自動車担当アナリスト、ジュリー・ブート氏は、日本からの関税15%も収益を圧迫し続けるとし、「トランプ大統領の任期がマツダには長すぎる」と語る。

その上でブート氏は、マツダがトヨタとの連携を強化すると予想。米国での車両生産や共同調達での協業を深め、トヨタがこの先2年間でマツダへの出資比率を現在の約5%から引き上げる可能性もあるとみている。

(白木真紀、Daniel Leussink 編集:久保信博)

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