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政府は格差是正するべきか? マクロ経済に思わぬ影響も。格差是正策の短期的な影響は、国や対策の内容によって異なる

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  • 奴田原 健悟 専修大学経済学部教授、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員

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(写真:node/PIXTA)
気鋭の経済学者が研究成果を解説するオープンプラットフォーム。【水曜日更新】

2025年7月、米国議会で「One Big Beautiful Bill Act(1つの大きく美しい法案)」と呼ばれる大規模な減税法案が成立した。この法案は、17年のトランプ政権下で導入された減税措置を恒久化するとともに、高所得者層や大企業への新たな税優遇策を追加する内容となっている。

この政策の背景には、いわゆる「トリクルダウン理論」がある。高所得者層や企業の負担を軽くすれば彼らが投資を活発化し、雇用や所得が増えて、いずれその恩恵が低所得者層を含む社会全体に波及する、というものだ。例えば、大企業が税制優遇によって得た余剰資金で設備投資を増やせば、新たな雇用が生まれ、関連する産業も活性化するという連鎖的な効果が期待されている。

しかし、この考え方に対しては、懐疑的な見方も少なくない。今回の法案には、公的医療保険制度(メディケイド)の受給条件の厳格化や、食料支援、住宅補助といった社会保障支出の削減が盛り込まれている。そのため、生活に困窮する世帯にとっては支援の網が縮小され、実質的な負担が増えることが懸念されている。

このように、経済成長を目指す減税政策が結果として所得格差の拡大をもたらすおそれがある。

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