《22時間漂流》の船「セブンアイランド愛」が引退へ…。【残り18隻】早くて快適な「ジェットフォイル」更新問題が悩ましい理由
現在のところ、国内の就航地は伊豆諸島(東海汽船)、新潟県・佐渡島(佐渡汽船)、鹿児島県(種子屋久高速船)、福岡県・壱岐諸島(九州郵船)、長崎券・五島列島(九州商船)など。
「船の3倍の速さで海上を飛べて」「乗り心地がよい」ジェットフォイル旅は、今後とも重宝されていく、はず……しかし現実には、船会社だけでなく川崎重工業・国・自治体を巻き込んだ諸問題が、たびたび発生しているようだ。
部品が入手困難に…トラブルも多いジェットフォイル

ジェットフォイルの船体は各社とも建造から30・40年と経過しているが、川崎重工業はWebサイトで「アルミ合金の船体で腐食には強く、エンジンを交換すれば性能や経済性が落ちることはない」とうたっている。
しかし実際問題、各社のジェットフォイルはしばしば運航トラブルを起こしている。中でも多いのが、「セブンアイランド愛」の引退原因にもなった「老朽化によるトラブル」だ。

船体が老朽化しないといっても、中身にあたるエンジンやガスタービンの製造中止などが発生しており、各社とも「製造中止のガスタービンを修理や代用でしのぐ」(隠岐汽船のコメント 2024年7月30日、山陰中央新聞より)状態。中には古い部品の折損で自動停止するような事態(2020年9月・佐渡汽船)も発生しているほどだ。
また油圧系のトラブルも多く、なかには長崎県・九州商船「ぺがさす」の2019年9月の事故のように、漏れた油がガスタービンに落ちて発煙するような事例もある。
昨年の「セブンアイランド愛」漂流も、油圧(ホース交換)にかかわるトラブルが原因となっている。なお、実はこの船が「セブンアイランド愛」になる前の「加藤汽船・ジェット7」時代(1991年12月)も、油圧系の操作ミスで明石海峡大橋の近くを5時間ほど漂流したこともある。
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