タワマン増殖で「西日すら当たらない」と嘆く旧住民たちの"現実" 中央区「勝どき」から失われたものはこんなにもあった

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「友だちと駆け回ってさ、肥溜めにハマったこともあるよ(笑)。そんな環境で育ったんだけど、私が住んでいるここら一帯も再開発計画が決まっているんですよ。

開発計画は不安定だからどうなるかわからないけど、まぁ、10年以内には私も引っ越すことになるだろうね」(平松さん)

築60年の家をリノーベーション

平松商店を出て、近所を歩く。

平松さんが語っていた通り、勝どきの再開発は今後も続く。つい最近も「パークタワー勝どきミッド」と「パークタワー勝どきサウス」の2棟が竣工した。上層階は3億円を超える物件だ。

パークタワー勝どきミッド パークタワー勝どきサウス
左がパークタワー勝どきミッド。右がパークタワー勝どきサウス(筆者撮影)

その真向かいに、気になる店を見つけた。

2棟のタワマンから、通りを挟んで10階ほどのマンションが並んでいる。「喫茶店ダンダン(中央区勝どき4-4-5)」は、築60年の建物をリノベーションし、2024年の8月にオープンした新しい店だ。店主の高島恒一さんはこう語る。

「祖父の代から3代、築地で干物や練り物など、加工品の仲卸をやっていたのですが、時代の流れもあって、そうした加工品はスーパーで買うようになってきた。思い切って仕事を整理し、自宅をリノベーションしてこの店を立ち上げることにしたんです。

今は午前中に豊洲市場で仲間がやっている仲卸の店舗で働いて、昼前にこの店にきて、ランチのための料理をつくります。娘も手伝ってくれるので、楽しくやっていますよ」

喫茶店ダンダン
「喫茶店ダンダン」の外観(筆者撮影)

複数のタワマンが進出してきたために、勝どき地区の人口は増え続けている。

リーウェイズ株式会社(東京都渋谷区)の調査によると、今後30年でもっとも人口が増える駅が「勝どき」駅という結果だった。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事