イスラエルとイランの戦争はさらなる戦争を招く、小事から大事へ、過去の対戦の歴史を振り返り世界大戦を食い止めよ

✎ 1〜 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 42 ✎ 43
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マルクスは、普仏戦争が起こる10年前、ドイツとフランスの対立を代理戦争という観点から予測していた。

〈フランスとの同盟ということから起こる直接の隣国とドイツとの戦争は、この北方の巨人が実は無力であるということを明らかにするにちがいない。だが、フランスと戦う場合は、ロシアは、その地理的な位置からしてつねにかならず予備軍となり、実際の仕事はドイツにやらせて勝利の果実は自分で確保する。この点で、連合した諸国家というものはひとつの軍のなかの異なった部隊に似ている。前衛と本隊は激戦を遂行しなければならない、しかし、戦闘に結末をつけ、勝利を担うのは予備軍である。〉(『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』1860年10月10日、『マルクス=エンゲルス全集』15巻、168~169ページ)

19世紀の状況に似た現在

この普仏戦争でドイツはロシアにけしかけられで代理戦争を行っているのだという。戦争を実行して多くの犠牲者を出すのはドイツで、ロシアは無傷で勝利の利益を得るだろうというのだ。この話を現在に移せば、ロシアはNATO(北大西洋条約機構)で、ドイツはウクライナということになるだろう。

しかしながら、普仏戦争と違ってウクライナの勝利は遠く、NATOは勝利の利益を得るのではなく、敗北の損益を蒙(こうむ)ることになるかもしれない。

これはたんなる類推だが、起こっている事態は19世紀とよく似ている。1つの戦争が次の戦争を引き起こし、連鎖的にどんどん戦争が拡大し、最終的には世界大戦という形で決着をむかえるということである。

こんなことは考えたくもないが、個々の戦争が世界の大きな対立構造の中で生まれている以上、つまり根本的問題である世界の対立構造が解決されないかぎり、いずれ戦争が起こるのは避けられないのかもしれない。

では対立構造とは何かという問題がある。私は、それは弱体化した先進資本主義国と、勃興する後進資本主義国との対立、もっと平たく言えば、G7(主要先進7カ国)を中心とした西欧の「帝国主義国」と、「旧植民地、旧半植民地だった」非西欧との対立だと考えている。

衰退する地域と発展する地域との経済的戦争が、いまや潰しあいの戦争へと発展しつつあるともいえる。19世紀の戦争が、アジア・アフリカへの支配を強める帝国主義的戦略をとった先進資本主義同士の戦争であったとすれば、21世紀は「帝国主義連合」であるG7と、「旧植民地と旧半植民地連合」との覇権闘争であるといえる。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事