没入感がハンパない「聴く読書」の新常識──アマゾンの音楽サブスク、体験の定着を目論む戦略に迫る
「日本の音楽文化は、世界的に見ても特別な存在です。ファンの活動が最高の形、すなわち『Oshi-katsu』(推し活)として表現される場所でもあります。
そのため、世界市場において、音楽ファンが喜ぶサービスを取り入れたいとき、我々はまず、日本のチームに相談し、日本の顧客のニーズから逆算して考えていくようになりました。

日本の顧客は、『完全なオーディオエンターテインメント体験』を求めており、日本市場を重視している理由でもあります」(レディントン氏)
「推し活」という言葉をあえて使った点も印象的だったが、日本の音楽シーンが一つのリファレンスになっているというレディントン氏の話は、Amazon Music施策からも手応えを感じているという。

「例えば、新しい学校のリーダーズのような、熱狂的なファンのために、アーティストに特別なレコーディングをしてもらい、オリジナルコンテンツを制作したり、新しい切り口のプレイリストや音楽ランキングを作成するなどして、ストリーム数は60%向上しました。

また、昨年のフジロックフェスティバルの全世界ライブ配信では、数千万回の視聴数を記録し、世界で最も高い視聴数を獲得しました。
これは、日本の顧客の貪欲な音楽体験へのニーズとともに、世界から日本の音楽シーンに注目が集まっていることを表しています」(レディントン氏)
アマゾンには、音楽サブスクサービスだけでなく、CDや書籍、グッズの販売、そして音楽を楽しむためのツールの販売なども行われている。
これと連動するように、Amazon Musicでも、HD音源の配信、空間オーディオへの対応、東京・渋谷にあるアマゾンのスタジオを拠点としたオリジナルコンテンツの制作、そしてポッドキャストの配信など、聴くエンタメ体験の拡充を進めてきた。
このようにアマゾンそのものが、総合的な「推し活プラットフォーム」として機能している点を切り取ることができる。
オーディオブックを発明したAudibleの次の段階
そんなAmazon Musicのサブスクに加わるのがオーディオブックのAudibleだ。Audible CEOのキャリガン氏は、オーディオブックのこれまでの歩みについて振り返る。
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