エヴァンジェリカル向け公約を実行するトランプ大統領、6月の米最高裁判決で反トランスジェンダー政策が加速
2024年12月、トランスジェンダーの子供を持つ3人の親の要請を受け、アメリカ市民自由連合が原告になり、テネシー州で2023年7月に施行されたトランスジェンダーの若者に対する医療行為を禁止した法律が憲法違反であると連邦最高裁に訴えた「アメリカ対スクルメッティ裁判」の口頭弁論が行われた(スクルメッティは被告で、テネシー州の司法長官)。原告の弁護士は「テネシー州の法律は子供を愛する親の非常に慎重な判断と、治療を勧める医者の判断をないがしろにする無思慮な禁止を課すものである」と述べ、テネシー州の法律は憲法修正第14条の「法の下における平等な保護規定」に違反し、トランスジェンダーに対する差別を容認していると主張した。この裁判には、第2期トランプ政権発足前に反トランスジェンダーの動きを牽制する狙いもあった。
最高裁判決が反トランスジェンダーを後押し
だが、6月18日、最高裁は6対3の評決でネシー州の法律は合憲であるという判断を下した。最高裁判事の6名は保守派、3名はリベラル派であり、評決は彼らのイデオロギーを反映する形となり、結果的にエヴァンジェリカルの大きな勝利となった。この判決によって、共和党系の20以上の州の同種の法律に正当性が与えられたことになる。判決文には、「未成年のトランスジェンダーに対するある種の医療的治療を禁止するテネシー州の法律は修正第14条の平等な保護規定に基づく厳格な審査の対象とはならない」とあるが、「審査の対象とならない」理由は明確ではなく、門前払いに等しい。
被告のスクルメッティ州司法長官は「アメリカの子供たちを守る最高裁の判決はテネシー州にとって画期的な勝利である」とSNSに書いている。またモンディ連邦司法長官も「州政府が脆弱な子供たちを性器切除や性自認尊重医療から守る最高裁の判決を称賛する。他の州もテネシー州と同様な法律を制定することを奨励する」という声明を出した。
リベラル派のソトマヨール判事は、「治療を必要とするトランスジェンダーの市民にとって、治療を受けるかどうかは生きるか死ぬかの問題である。最高裁は平等な保護条項に取り返しのつかないダメージを与えた」と、反対意見で指摘している。
この判決でトランスジェンダーの権利拡大を目指す運動は大きく後退することになるだろう。それは同時にトランプ政権の反トランスジェンダー政策を加速させることになる。エヴァンジェリカルは確実に勝利している。彼らの次の目標は同性婚の非合法化である。
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