台風で浸水、畳が腐敗し、家中カビまみれ…「空き家になったボロボロの実家」を、50代息子がどうしても“YouTubeに残したかった”ワケ

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現場に入ったスタッフは計3人。空になった実家は売りに出す予定なので、すべてのモノを外へ搬出していく。

実家じまい
几帳面な母が書き留めていたメモ(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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部屋のカレンダーは母が入院した月で終わっていた(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

カビだらけの実家を「撮影してほしい」と希望した理由

月に約400軒の片付けを行うイーブイは、そのうち2軒ほどを撮影し、YouTubeで公開している。今回の撮影は、依頼者の男性たっての希望によるものだった。

「私にとってこの家は勝手わからぬ実家でいいんですが、子どもたちにとっては夏休みや冬休みに来ていたおじいちゃんおばあちゃんの家なんです。それを残したいなと思い、撮影をお願いしました」(男性)

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きれいになったキッチンで話をする依頼主(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

生前の父が使っていた書斎には趣味のモノがまだ多く残っていた。野鳥が好きで六甲山によく写真を撮りに行っていた父は、この書斎でよく写真の整理をしていたようだ。

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荷物量としてはそこまで多いわけではないので、4時間ほどで作業は完了。残置物の撤去が終わった実家を前に、「寂しい気持ちもあるけど……」と男性が想いを漏らす。

「やっと片付いたなという思いです。あの嫌なモノを全部片付けてもらった。もうこの家のことが気になって気になって……。自分の思い出はそんなにない家だけど、年に何回か泊まりに来て、ちょっとは過ごした家なので。寂しい気持ちもあるけど、今はどちらかというとスッキリした気持ちのほうが強いですね」

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いちばん被害の大きかった1階和室もモノがすべてなくなった(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

臭いものにふたをして、なかったことにすることもできる。しかし、それでは根本的な解決には至らず、自分の心のどこかにずっとトゲが刺さったままの状態で生きることになってしまう。

正面から向き合うことはつらいけれど、結果的にそのほうが楽になることも多そうである。

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風呂場もすっかりきれいな状態に(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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