韓国で100万人超動員のR18+映画『秘顔』が日本上陸 《露骨な性描写》も意味がある! 壮絶「トンデモ復讐劇」に日本人も惹かれるであろう理由
そこで物語は終わらない。時制は再び現在に戻り、それまでの違和感の正体に納得がいくとともに、そこからのさらなるストーリー展開に戸惑う。この物語はどこに行くのか。終着点には何が待ち受けているのか。
単なる復讐劇ではない。18禁のどぎつい性描写だけでもない。そこに密接にリンクした斬新な発想の物語設定が、観客を取り込んでいく。気がつけば、ラストに向けた展開から目が離せなくなっている、設定にもストーリーにも新規性のある復讐劇だ。

元悪となる“秘密の顔”を持つ女はサイコパスだ。しかし、誰もが彼女に感情移入してしまうだろうポイントもある。高校時代の純粋な彼女は、心体ともに愛を与えられ、特別な絆で結ばれた人がいた。
しかし、その人は、あるときから自分勝手な都合で彼女を利用し、それまでのことを切り捨てるだけでなく、彼女を侮蔑した。そして、それを些細なことと考えていた。
彼女にとってその裏切りは、人生を変えるほどの出来事だった。それは、誰もが日常の社会生活のなかで、大なり小なり近しい経験をしているかもしれない。それをデフォルメしたようなストーリーから、彼女の心の痛みに共感した人は少なくないだろう。
そんな女の壮絶な復讐にさらされる側は、彼女の真意に気づいたときには、それまでのすべてがひっくり返り、精神の均衡を崩すほどの愛と嫉妬が倒錯する。そして、ラストで思いもかけぬ行動に出る。
魂や本能の暗い道筋の表現がある
ストーリーの前半で深まる失踪の謎が明らかになるところで驚かされるのだが、そこからのラストの展開がさらにすごい。女2人と男1人の間の情事は、物語の入り口に過ぎない。
そこから先には、本作を手がけたキム・デウ監督が「魂や本能の暗い道筋を表現したかった」とする、秘密と欲望の立体的な探求があり、女の感情の深淵を目の当たりにすることになる。
そこにある恐怖とどんでん返しの連続に感情を揺さぶられ続ける。“秘密の顔”を持つ女は、前半と後半ではまったく別人の顔に見えてしまう。

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