「20万円の梅酒、90万円のウイスキーが人気」「毎日が戦争」インバウンドの最前線≪免税店≫で働く台湾人女性の“日本での暮らし”の本音

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いまではこうした表示を街のあちこちで見るようになった(写真:筆者撮影)

こうした行為が増加してきたため、2026年からは制度が変更される。

免税品はいったん消費税も合わせて購入してもらい、出国時に本人と商品を確認して、消費税分を返金する方式になる予定だ。

アイドルの推し活にハマる台湾人も

慌ただしい毎日を過ごしながらも、アリスさんは休みのたびに目いっぱい動いている。

「映画、買い物、コンサート、舞台とか。最近は韓国に旅行に行きました。雨の日は家で編み物ですね。東急ハンズの体験コーナーでやってみたことがきっかけ」

5日本に住んでもう15年。流暢な日本語を話しているように見えて「電話でのやり取りはまだ難しい」のだとか(写真:筆者撮影)

15年を暮らし、すっかり慣れたこの国で、この先も生きていきたいと思っている。

「日本は文化的に台湾と似ているところがあって過ごしやすい。あとは季節がとくに好きですよ。秋の紅葉、冬は雪。春はお花見。それに」

と、アリスさんは苦笑する。

「台湾にいると両親が門限を決めちゃうし、なにか買い物するたびにムダ使いしちゃだめだって怒られて、ちょっと離れたほうがいいのかも」

そんなことを言いつつも、心配性の親御さんのためにちょこちょこと帰国している。なにせ台湾はすぐそばだ。

「今度は日帰りで帰るんです」

彼女のように、日本に住む台湾人は7万0147人。1位中国の87万人、2位ベトナム63万人など急増している国に比べると少ないが、ミャンマー13万人に次いで9番目の数字だ。台湾も経済が伸びているし、留学にしても就職にしても日本ではなく欧米を選ぶようになっていくのではないか……なんて話も聞く昨今だが、

「そんなことないですよ」

とアリスさんは言う。

「やっぱり台湾人は日本が好きで、日本に留学したい、働きたいって人はたくさんいます」

アリスさんの知人の女性も仕事を辞めて日本に留学し、いまはなんと地下アイドルにハマっているのだとか。ライブに出かけて応援し、アイドルたちと一緒に写真を撮って、そのために日本語を学び……まさに「推し活」なわけだが、さまざまな面で日本に対して親近感を持ってくれる台湾の人たちがいる。

アリスさんはいずれ日本の永住権を取得したいと考えている。

「そしたらバーでも開きたいな。面白いことをもっといっぱいやりたい」

彼女の日本生活は、まだまだ続きそうだ。

室橋 裕和 ライター

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むろはし ひろかず / Hirokazu Murohashi

1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年に渡りタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。主な著書は『ルポ新大久保』(辰巳出版)、『日本の異国』(晶文社)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書)、『バンコクドリーム Gダイアリー編集部青春記』(イーストプレス)、『海外暮らし最強ナビ・アジア編』(辰巳出版)など。

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