「20万円の梅酒、90万円のウイスキーが人気」「毎日が戦争」インバウンドの最前線≪免税店≫で働く台湾人女性の“日本での暮らし”の本音

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ゲストハウスで働いていた時代。世界中から訪れるバックパッカーたちを出迎えた(写真:アリスさん提供)

「いろんな世界を見たら、もっと行ってみたくなって」

一度は台湾で就職したものの、激務だったこともあり日本でのワーキングホリデーを選んだ。都内の安いゲストハウスで暮らしながら、地域の日本語教室に通い、映画やテレビをたくさん見て日本語を磨いた。

やがてゲストハウスのスタッフとしてアルバイトをするようになり、世界各地から来る旅行者を出迎える立場に。さらに合間を見て、日本を旅するエネルギッシュな人である。

「けっこう旅行しましたよ。最初に行ったのは北海道。日本語がまだあまりわからない頃、夜行バスで青森に行って、船に乗り換えて函館に行って。あちこちで日本人に助けてもらって。楽しかったなあ」

旅先でもお年寄りに声をかけられて親切にしてもらったり、日本語教室でも先生たちから食事をごちそうになったり、彼女を知る日本人の友人いわく「愛されキャラ」のアリスさんはその人柄もあってかどんどん言葉を覚え、日本になじんでいった。

しかしそんな時間はあっという間に過ぎる。ワーキングホリデーは1年間だけの制度なのだ。

「でも、もっと日本語を勉強したくて」

ゲストハウスに相談したところ、正式に雇ってもらえることになった。ワーキングホリデーのビザからきちんと就労のできる在留資格に切り替え、それから7年間ほど働いた。

免税店に転職したことが転機に

転機が訪れたのは2017年だ。

「友達の紹介で、免税店に転職したんです」

読んでの通り「税金を免除してモノを売る店」のことだ。この場合の税金とはおもに消費税で、相手はおもに外国人観光客。日本に住んでいない人だ。税金とはその国の居住者に対して課され、また運用されるものだから、日本の税の恩恵を受けない外国人観光客は免除されるというわけなんである。

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