これに対し、ワシントンポスト紙の6月16日社説は、「後のことをよくよく考えよ」と説く(Bomb Iran?Trump needs to think about what happens next.) 。いわく、イランのレジームチェンジにまで踏み込むことは危険である。リビアやアフガニスタンがそうだったように、武力で政権を倒すことはできても、正統で穏健な政権を打ち立てるのは困難だ、と言う。リベラル派から中道派の意見はこちらが多くなる。
この問題に対して、トランプ支持層の意見が分裂している点が興味深い。「MAGA派」と呼ばれるアメリカ第一主義者たちは、「イスラエルが始めた戦争なんだから自力でやらせればいい、アメリカが手伝う必要なんてない」と冷たい態度である。これに対し、イスラエル支持のタカ派は、「米軍はイラン爆撃に参加せよ」と主張する。「福音派」と呼ばれる宗教的右派が、この意見に賛同していることは言うまでもない。
以前にもご紹介した通り、現トランプ政権の安全保障観は3つのグループに分かれている。
今回は「アメリカの覇権重視」が根強い
これまでトランプ政権では、③のレストレイナーが圧倒的な勢力だと思われていたのだが、今回の事態では、①のプライマシストも意外と根強いようである。代表的な孤立主義者としては、テレビキャスターのタッカー・カールソンや第1次トランプ政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノンなどが有名だが、彼らは政権内に居ないこともあってそこまで影響力は強くない。他方、議会にはテッド・クルーズ上院議員のような親イスラエル派の有力者が健在なのである。
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