OpenAIの営利組織転換を巡りマイクロソフトとの対立が深刻化、ソフトバンクグループの最大400億ドル投資計画と堺AIデータセンター構想への影響とは
今後、AIエージェント時代に突入していく中で、優れた独自性の高いAI支援コーディングツールを内製することは、多様なエージェントを次々に開発していく上で押さえておきたい独自技術の領域だ。
開発者向けに自社提供のAIを活用するための優れたコーディング環境を提供できるかどうかは、ライバルとの競争を有利に進める上で重要な道具になる。
「OpenAI×MS」対立軸とSBGのAI投資
こうした対立によりPBCへの転換計画が停滞し、年内に転換が完了しない場合、OpenAIは現在計画している資金調達を受けられなくなってしまう。
OpenAIが“マイクロソフトが自社の独立性や事業展開を制限している”と主張し、反トラスト法で訴える可能性がある、とされているのも、この転換計画を速やかに行わねばならないOpenAIの焦りもあるのだろう。
また、日本に視点を置くならば、OpenAIへの巨額出資を表明しているSBGのAI投資戦略の行方についても気になるところだ。
SBGは4月、OpenAIに対し最大400億ドルの巨額投資を発表した。同時にSBGは企業向けに最先端のAIエージェント「クリスタル・インテリジェンス」をOpenAIと共同開発するSB OpenAI Japanを共同設立している。
この投資計画のうち、100億ドルはすでに実行されているが、残りの最大300億ドルはこれから。そして、追加投資を受ける条件の1つとなっているのが、年内のPBCへの転換である。つまり、OpenAIとマイクロソフトの対立から組織転換の承認が進まない場合、SBGはAI関連の投資、事業開発を全面的に見直す必要が出てくるだろう。
SBGは昨年、シャープ堺工場を1000億円で買収すると発表。AIデータセンターを建設する計画を進めている。調達可能な電力規模を拡大しながら、企業向けAIエージェントの拠点としてデータセンターを活用していく見込みだが、OpenAIとの事業進行に影響するようならば、データセンターの事業計画にも影響が出ることは必至だろう。
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