「女性たちがバチバチしていない」「“キス”は不同意ではないことを確認」様変わりした《バチェラー》から“婚活バトルが消えた”ワケ

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さらに『バチェラー』『バチェロレッテ』は、最終的にひとりを選ぶという番組の構造上、どうしてもバチェラー・バチェロレッテが参加者を比較検討しなければならない宿命を負っている。

比較されることで参加者たちはプレッシャーを感じ、「誰かを蹴落とさなければならない」という発想になるのも自然なことだろうし、その必死な思いが生み出す見せ場もこれまではあった。

だが、今回の『バチェラー』は、本人の気質もあってか、女性参加者たちを相対的に比較している雰囲気があまりない。あくまでそれぞれと向き合い、それぞれと恋愛を進めている印象なのだ。

久次米は、相手の話を決して否定せずに、優しく受け入れていきながら相性を探っていく。相対評価ではなく絶対評価を重ねているとも言える。

バチェラー
『バチェラー』シーズン6の参加女性たち(画像:『バチェラー・ジャパン』公式Instagram より)

女性全員が「ヒロイン」として扱われる

参加者の数もシーズン1では25名いたところから20名、17名、16名と徐々に減っていき、シーズン6では14名と過去最少の人数に。その分、参加女性たちが番組を盛り上げるための“駒”ではなく、1人ひとりがきちんと“人間”として描かれているようにも感じる。

たとえば、これまでのシーズンでは初回で落ちる参加者は、ほとんど人となりもわからず去っていくのが定番だった。だがシーズン6では初回で落ちることになる女性とのやり取りにも、かなりの時間が割かれていた。

さらに言えば、今回の女性参加者は14人だが、1対14の話が1つあるのではなく、1対1の話が14個ある――と言っていいだろう。

『バチェラー』シーズン6は、各エピソードごとにヒロインが変わるような物語なのだ。主役と脇役がいて、あからさまに順位をつけられるのではなく、最終的に選ばれなかった人も含めて全員がヒロインになりうる構成も、とても現代的なものである。

さらに、それぞれがヒロインとして丁寧に扱われて、一定の安心感を持っているせいか、女性同士の蹴落としあいのようなことも起こらなかった。最後に残った3人に対してはバチェラー自身が「ほんとにみんなも仲良さそう」と声をかけ、皆が「ほんとだよね」と笑って頷くシーンがあるほどだった。

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