「女性たちがバチバチしていない」「“キス”は不同意ではないことを確認」様変わりした《バチェラー》から“婚活バトルが消えた”ワケ
たとえば、2018年に配信されたシーズン2では、公式に「日本一ゴージャスで過酷な婚活サバイバル番組」と宣伝され、予告編の中でも「色仕掛け」「嫉妬」「裏切り」といった言葉が踊っていた。
そのような下世話な印象を受けて、視聴には至らなかった人や、当時多くテレビCMなどが流れたこともあって、その印象のまま止まっている人も多いだろう。
だが、バチェラーを彩っていたそのような言葉はいつの間にか息を潜め、最新シーズンは、そういった意味で、かなり見やすい『バチェラー』になっている。とはいえ、それは面白くなくなったということでも、恋愛が起きていないということでもない。
『バチェラー』シリーズが構造的に抱える問題として、いくら相手のスペックが高かったとしても、それだけで人は相手を好きになれるのか、という問題がある。それが露呈したのが、昨年配信された『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3だ。
本作は、バチェロレッテ(女性)に対する男性の積極的なアプローチがあまり見られず、途中で辞退者が出るほどだった。いくら番組が舞台を用意したところで自然に恋愛が起きて盛り上がるわけではないことを正直に見せた異色のシーズンとなった。

「キス」も不同意ではないことを確認
それを踏まえてなのか、今回のシーズン6は、どんな人物がバチェラーなのかを明らかにしたうえで女性たちを公募。少なくとも興味を持った女性たちが参加している。だが、男女ともに、以前のシーズンのように、いきなりキスをしたり、セクシーさを武器にしているととらえられかねない行動をしたりする人物がいるわけではない。
今回のシーズンでは6代目バチェラーである医師・久次米一輝が時間をかけてそれぞれと向き合い、恋愛が進んでいく。モテ慣れしているからか、かなりの御曹司だからか、ガツガツもしておらず、柔和にじっくりと相手への理解を深めていく印象で、初めてのキスシーンはエピソード5だ。
ゆっくりとした展開に感じる人もいるかもしれないが、恋愛番組だからといっていきなりキスをするよりも、むしろ自然と言っていいだろう。さらに、次のエピソードでは「大丈夫だった?」と確認が入るというところまで、いまの時代にあった構成。視聴者にとっては一方的に見えかねないキスが、不同意ではないことを確認するシーンまで入るのである。
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