頻発する「道路陥没」、見えない“地下”に潜むリスク。《豪雨の後も要注意》陥没しやすい地域の特徴、危険を察知するポイントとは?

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また、インフラに関する情報としては、国土交通省が公開する「水道カルテ」のほか、NHKが公開する「全国水道危機マップ」では、自治体ごとの水道料金、老朽化率、耐震化率を地図上で閲覧することができる。

このほか、各自治体が個別の情報や地図ツールとして地下インフラの整備時期などを公開している場合もあるので地域名などで検索や、台帳等の公開について自治体の窓口で問い合わせてみるといい。

これから引っ越しをする場所だけでなく、現在居住している場所やご実家なども情報を調べておくことをお勧めする。

地盤陥没の前兆は?

地盤陥没の前兆となる現象はあるのだろうか。八潮の道路陥没でもトラック落下時の動画では、いきなりアスファルトの舗装が落下したように見え、事前に前兆はなかったようだった。

陥没は地表から前兆をつかみにくいことも多いとされているが、前兆としては、道路面の下の土が流出することで路面がくぼんでいくような場合や、ある方向に向かったひび割れなどがみられる場合がある。

ただし、舗装面のひび割れやくぼみなどは、陥没の前兆となる空洞化に関わらず起きている場合もあり、必ずしも「くぼみやひび割れがある=陥没」につながるわけではない。

居住している住宅の敷地などでは、空洞化が進むと徐々に地面などがへこんでいく場合や、建物の際に沿ってひび割れ等が発生する場合がある。舗装道路を通っていて浮いたように感じたり、空洞化した場所を木槌などで叩くと違う音がしたりすることもある。

明らかな前兆がある場合には、すでに空洞化が進行していることも懸念される。空洞ができている場合は、隙間から細い棒などを突き刺すと、容易に突きこんで空洞を探知できる場合もある。

空洞化が起きる原因はさまざまだ。

大きな地震の後には地盤液状化による土の流出や盛土地盤、斜面の崩壊。豪雨時には地盤崩壊のほか、雨水・下水の流量の増加、地下水の流れの変化で水が流れ込んで浸食され、空洞化が進むことがある。大きな地震や豪雨の後は、敷地内や近隣の路面、地面や擁壁、斜面を含めて異常がないか確認しておくことがいい。

引っ越し先を探している段階では、先述の地図情報での確認に加えて、現地で下見をしておくといい。

対象地の地面に大きなひび割れ、くぼみなどがないか。近隣の道路が波を打っているように凹凸がないか、電柱などの傾きが多く発生していないか、近隣の住宅が傾いていないか。

家屋の基礎に大きなひび割れが発生している場合は、地盤のトラブルが発生しやすい地域である場合もある。明らかな異変と思われる現象が見られた場合には、専門業者に相談してみてほしい。

横山 芳春 だいち災害リスク研究所 所長・地盤災害ドクター

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よこやま よしはる / Yoshiharu Yokoyama

地形と地質、地盤災害の専門家。早稲田大学大学院理工学研究科博士課程を修了、関東平野(茨城県南部全域の常陸台地)の地形・地質のなりたちに関する博士論文で博士(理学)の学位を取得。早稲田大学理工学総合研究センター勤務ののち、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門(旧・通産省工業技術院 地質調査所)などで研究に従事。現在は、さくら事務所が運営するシンクタンクだいち災害リスク研究所所長として、災害が起きた際には速やかに現地入りして被害を調査。地盤災害のプロフェッショナルとして活動している。

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