頻発する「道路陥没」、見えない“地下”に潜むリスク。《豪雨の後も要注意》陥没しやすい地域の特徴、危険を察知するポイントとは?

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まず、地盤が軟弱な場所は川や海に近い土地や、田んぼなど低い土地(低地)に多い。低地は起伏が少なく水運が容易、という利点から、人々が住む場所の半分以上がこのような条件に当てはまる可能性がある。

八潮市の道路陥没でも、当初は直径10mほどであった陥没穴が拡大を続け、直径40mほどにまでなった。地盤改良工事や鋼矢板を打設することで拡大は止まっているが、陥没の原因となる土の流出が起きやすいことや、浸食されやすい影響が考えられる。

著者は以前、マンション敷地内駐車場での地盤陥没・空洞化トラブルの対応を行ったことがあるが、その場所も川沿いの谷底低地であった。周囲の地盤が沈下していくので、マンションの基礎部分のキワで段差が発生し、車が通るたびに振動で空洞化が進んでいくという事例もあった。

次に、埋設管の損傷などは敷設されて年代が経つほどに発生しやすくなる観点から、早い時期に整備された古いインフラや住宅が存在する地域では、陥没のリスクが高まっている可能性がある。

特に戦後からの高度経済成長期に建設された住宅やインフラは、早期に整備されたことの裏返しとして老朽化が進んでいる。建物だけは新しくなっていても、地下のインフラの更新や耐震性が進んでいないケースもあるので注意が必要だ。

普段はあまり意識しないが、住んでいる街および、そのインフラがいつごろ整備されたか、また更新や耐震化が進んでいるかなどはぜひ意識してほしいところだ。

陥没しやすい地域を調べることができるツール

近年はさまざまな情報公開の促進やweb上での閲覧環境が整ったこともあり、地盤の成り立ちや、都市の形成、インフラに関する情報なども入手しやすくなってきている。

地盤の情報としては、国の機関である国土地理院が無償で公開している「地理院地図」が便利である。その土地がどうやって成り立ったか、どういったリスクがあるかがわかる情報や、過去の土地の履歴(航空写真)などが閲覧できる。

古地図を閲覧したい場合は、「今昔マップ on the web」というサイトで、無償で古地図を閲覧できる(いずれも情報が公開されていない地域もある)。

今昔マップ on the web
「今昔マップ on the web」で1928年から1945年、新宿駅付近の地図を表示させた画面(画像:今昔マップ on the web)
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