≪玉木雄一郎が斬る!≫年金制度改革の欺瞞と、納税者の負担が増す「毒入りあんこ」の正体(後編)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「年金は100年安心」と言いながら、わずか20年で税金を投入してまで見直さなければならなくなった年金制度の現状を、自民党だけでなく、立憲民主党も追認したのです。将来の税負担が組み込まれているという意味で、河野さんの言う「毒入りあんこ」であることは間違いありません。

「税金の財源のあて」を自民党も立憲民主党も示さないのは無責任です。
しかも「自・公・立」の年金改革案は5年後の財政検証を踏まえた後に行われるかなり先の話です。どうせ先送りするなら、中途半端な税負担だけを3党だけで決めるのではなく、基礎年金の最低保障機能をどう引き上げるのか、所得の高い高齢者の年金にまで税金を投入する必要があるかなど、本質的な改革に向けた超党派での議論を深めるべきでした。

塩田:国民民主党は「手取りを増やす」と主張して、早くから所得税の基礎控除額の引き上げによる「壁」の撤廃や、ガソリン税の暫定税率の廃止、その点に関する「トリガー条項」の撤廃を唱えてきましたが、それらの問題に対する取り組みは。

ガソリン税の暫定税率の廃止はやる気の問題

玉木:引き続き求めていきます。暫定税率の廃止は2024年12月に決めたのだから、いつやるかだけです。来年度や再来年度ではなく、今でしょう。5月22日からガソリンの価格を抑えるために、補助金を使って段階的に引き下げて1リットル当たり10円を限度に下げることになりました。

でも、その財源があるんだったら、期間を半分に縮めたら20円下げられる。10カ月で10円下げる補助金を集めれば、半年間で暫定税率を廃止して25円下げる財源はあるはずです。それを今、やるべきです。その後は補正予算を組んだり、年末の税制改正につなげていけばいいのです。要はやる気の問題です。

だから、野党7党でガソリン暫定税率を7月から廃止する法案を6月11日に提出しました。衆議院は与党が過半数割れしていますから、衆議院通過の可能性もあるのですが、自民党と公明党が委員会を開かせず妨害しています。この国会で決着がつかなかったら、参院選で「力を貸してほしい」と、もう一回、国民に問うしかありません。

所得税の「103万円の壁」は、われわれは「178万円」を主張してきて、実際には 162万円まで上げましたが、対象となるのは全体の5%未満の人だけ。物価高騰で困っているのは、所得の低い人だけではなく、中所得者も含めてみんな困っているのだから、所得制限をなくして、一律控除額を 178万円まで引き上げていくことを求めたい。他党とも、政策本位で連携できるところとは連携していきます。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事