ドラマ「VIVANT」続編決定! 異例の大ヒット作が示した「日本ドラマの常識破り」とは?

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ネット上では、物語がどういう展開を迎えるのかということについてさまざまな予想が飛び交い、考察合戦が展開された。謎解きの要素が盛り込まれているドラマは「考察」の対象になって独特の盛り上がりを見せるものだが、「VIVANT」におけるそれは空前絶後の大規模なものだった。それだけドラマ自体の面白さに惹きつけられた人が多かったのだろう。

現代の視聴者は、かつてのように黙ってテレビの前に座るだけの存在ではない。SNSの普及とともに、視聴体験そのものが「参加型」のものへと変化した。ドラマの内容を考察し、共有し、議論することがセットになっている。そのような環境下で「VIVANT」は多くの情報を視聴者に提示した。

登場人物の背景、国際的な関係性、軍事組織の構造、過去の因縁、謎めいた伏線の数々――とにかく考える材料が多かった。しかもそのすべてが即座には解決されない。次々と出てくる新たな謎によって、視聴者は考察の森に迷い込むことになる。

考察ブームを起こした

だが、それが考察疲れを生むのではなく、むしろ中毒性を生んだのは、物語の構造がきわめてオーソドックスでわかりやすいからだ。専門用語が飛び交い、視覚的にも情報量が多い「VIVANT」だが、最終的には「親子の絆」「信頼と裏切り」「正義と復讐」といった、誰もが直感的に理解できるテーマに回収されていた。

表面的には重厚で難しそうなのに本質は明快でわかりやすい。このギャップが視聴者にある種の知的優越感を与えつつ、最後には感情的な満足をもたらしていた。

「VIVANT」の続編に対して視聴者の期待が高まっている理由の1つは、前作の最終話のラストでも、まだ話の続きがあることが示唆されていたからだ。次作でも大規模な海外ロケが行われ、スケールの大きい作品になることが告知されている。

Netflixなどの配信メディアで国内外の制作費をかけた質の高いドラマや映画が気軽に見られるようになった現代において、国内のテレビドラマは安っぽく見られてしまうことがある。そんな中で「VIVANT」はそれらに見劣りしない魅力的なコンテンツだった。続編も1作目と同様の話題作になるのは間違いない。

VIVANT
日曜劇場「VIVANT」公式サイトより
ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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