ドラマ「VIVANT」続編決定! 異例の大ヒット作が示した「日本ドラマの常識破り」とは?
キャストの異常なまでの豪華さも話題になった。主演の堺雅人は「半沢直樹」(TBS系)や「リーガル・ハイ」(フジテレビ系)などの話題作で知られる国民的俳優であり、その演技力には絶対的な信頼感がある。そんな彼の脇を固めるのが、阿部寛、役所広司、二階堂ふみ、松坂桃李、二宮和也といった顔ぶれ。いずれも単独で映画やドラマの主役を張れる超大物俳優である。
これほどのメンバーが1本の地上波ドラマに結集すること自体が異例のことだった。もちろん、制作費が潤沢だったからこそ、この豪華キャストを揃えることができたのだ。
2つ目の理由は、演出と脚本の完成度の高さである。演出を手がけた福澤克雄は大ヒットドラマ「半沢直樹」を制作したことでも知られている。そんな彼が原作と演出を担当した「VIVANT」は、複雑な人間関係や組織同士の対立を軸にした濃厚なサスペンスだった。
物語はテンポ良く進んでいき、やや過剰でマンガ的な熱量のある芝居も視聴者を魅了した。そのような演出がチープに見えないのは、キャストの演技力と脚本の整合性が高いレベルで両立しているからだ。
情報公開が巧みだった
3つ目の理由は、情報の出し方の巧みさである。通常、ドラマの番宣では本編の映像がダイジェスト的に公開され、人々の期待をあおるものだ。だが、「VIVANT」では事前に内容を一切明かさず、キャスト名とタイトルのみを発表していた。「VIVANT」というタイトルの意味すら不明であるため、視聴者の間では放送前から期待と想像が膨らんでいた。
そんな中で第1話が公開されると、壮大なスケールの物語が始まり、あっという間に見る人を虜にしていった。物語構造としても1クールで終わるドラマとは思えないほど、重層的なストーリーが展開されていた。
誤送金事件から始まり、国際的なテロ組織、国の特殊機関である「別班」、過去の家族との因縁、そして二重人格という心理的テーマまで、1つの作品の中にいくつもの要素が混在していた。それでも話が破綻せず、視聴者を引き込む力を持ち続けたのは、伏線の張り方と回収の仕方が巧みだったからだ。

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