東雲の湾岸タワマン繁栄で「キャベツも買えない」団地の旧住人たちが発生したワケ 「フード・デザート現象」起きる街で見えた30年後の光景

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「地域に大規模な集合住宅ができることで、それ以外の場所が周辺化し、逆に不便になることもあります。また、タワマンなどの集合住宅が建つと若い世代が移り住んでくるので、地域の平均年齢はグーンと下がったりします。

ただし、周辺の高齢化は依然として進んでいる。そのために、地域全体の高齢化が見えにくくなり、公的サービスが行き届きにくくなるという弊害も考えられます」(田中教授)

たしかに、辰巳地区と東雲地区の人口と年齢分布を見ると、田中教授の言っている通りだ。

2025年1月現在で、東雲の人口は2万5518人で、辰巳は9770人だ。2倍以上の開きがある。

ところが65歳以上は東雲が2970人で、辰巳が2928人とほぼ同数。15歳〜64歳は東雲が1万8108人で、辰巳が5737人、約2倍東雲のほうが多い。14歳以下にいたっては東雲が4440人で、辰巳が1105人。辰巳の若者は東雲の4分の1ほどだ。

人口

冒頭に示した通り、東雲のタワマン群を校区に含む第二辰巳小学校と、それ以外が校区となっている辰巳小学校の児童数には、2倍以上の開きがあるのだが、人口分布の内訳を見るとその理由がわかる。平たく言うと、辰巳は東雲に比べて圧倒的に少子高齢化が進んでいるのだ。

再開発で「食の砂漠」が生まれる背景

「一般的な傾向として、大規模マンションの住民は比較的可処分所得の多い層といえます。そうした人たちのために、近隣には高級スーパーや、少し高めのショップが増える。

逆に元からある個人商店などは淘汰されていく。見た目として、店の数は変わっていないけど、新しくできた高級店は元から住んでいる人たちが日常的に使うにはちょっとハードルが高い。

結局少し離れていても、安いスーパーに買い物に出かけることになる。これも一般的な傾向なのですが、元から住んでいる住民は高齢化が進んでいるので、あまり重い商品は買わない。キャベツとか大根とか肉は重いでしょ、だから敬遠する。

店が遠いと買い物に行く頻度も低くなって、どうしても乾物とか缶詰など日持ちのする物の割合が増えて、栄養のバランスを崩す……といった弊害も起こってくる。

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