東雲の湾岸タワマン繁栄で「キャベツも買えない」団地の旧住人たちが発生したワケ 「フード・デザート現象」起きる街で見えた30年後の光景

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「そうねぇ、私の印象じゃ、団地の人たちの買い物の8割くらいはワイズマートだね。あとは、ほら、東雲に大きなイオンがあるから、遠いけど、足腰が大丈夫な人はあちらにも行くよ」(中澤さん)

辰巳の団地からは歩いて15~20分ほどの場所に、イオン東雲ショッピングセンター(江東区東雲1-9-10)がある。約3400平方メートルの地域最大級の店舗だ。

保育園、クリニック、郵便局から、ファストフードなどの専門店とスーパーマーケットのイオンからなる複合ショッピング施設である。そこまで行けばなんでもそろう。しかし、中澤さんが言う通り、少し遠い。

イオン東雲ショッピングセンター
イオン東雲ショッピングセンター(筆者撮影)

「イオンは遠いけど、無料の専用バスを運行してくれているので、それを使うんですよ。あと、配達もしてくれるから、便利だよ。

ただ、そのかわり、この近所の商店街は元気がなくなった。団地の谷間に隠れててちょっとわかりにくいけど、辰巳商店街っていうのがあって、肉も魚も野菜も、昔はここで何でもそろった。

タワマンができて、イオンができて、そのころから目に見えて商店街の元気がなくなってきたね。団地の真ん中にあるから、便利だったんだけど、今はもう4、5店舗しか残ってないですね」(中澤さん)

キャベツも大根も買えない「フード・デザート現象」

中澤さんが語ってくれたことは、実は多くの再開発地域で起こっている。

大規模集合住宅と都市の関係を研究する青山学院大学経済学部現代経済デザイン学科の田中耕市教授は次のように語る。

田中耕市氏
青山学院大学経済学部教授・田中耕市氏(筆者撮影)
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