東雲の湾岸タワマン繁栄で「キャベツも買えない」団地の旧住人たちが発生したワケ 「フード・デザート現象」起きる街で見えた30年後の光景
世間は彼らを「団地族」と呼び、もてはやした。辰巳小学校、第二辰巳小学校は、いっきに増えた団地族の子どもたちを受け入れるために設立されたわけだ。
お隣、東雲地区のタワマン再開発は2000年以降に始まった。湾岸エリアのタワマン住民は、キャナル(運河)をもじって、「キャナリーゼ」と呼ばれるらしい。
キャナリーゼがどんな属性を持つ人たちなのか、そのイメージは読者の皆さんに任せるが、団地族のほうは想像しにくいかと思うので、1960年版の『国民生活白書』から一部を紹介する。
「キャナリーゼ」と「団地族」、どこか重なるように感じるのではないだろうか。
あっちにある「イオン」は歩くと遠すぎる
さて、そんな団地族も年を取った。タワマン群のある東雲地区から、再び辰巳桜橋を渡って辰巳地区に戻ってきた。
辰巳駅から歩いて2分ほどの場所に地域の冷蔵庫と言われる「ワイズマート辰巳店」(江東区辰巳1-1-34)がある。さほど広くない店内に、食料品から日用雑貨まで、商品が豊富に並ぶ。

店の2階の窓を仰ぐと、「cafe・LaLaLa」の張り紙が見えた。界隈を歩き回って少し疲れたので、ここで休憩することにした。
ワイズマートの脇の階段を上がって、店の中を覗くと、お年寄りが2人、静かに食事をしていた。コーヒーを注文し、あらためて店内を見回すと、「国際更生保護ボランティアの日」や「更生カレー」などのポスターがそこかしこに貼ってあることに気づいた。
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